ハワイ不動産売却ガイドNo.6</br>登記に必要な全書類一覧

ハワイ不動産売却ガイド第6弾は、登記にあたり必要な全書類がここでわかります。

前回、売主が知っておくべき6つのステップとして、売買契約書に規定された各条項の履行手続きについて解説してきました。今回は、引渡までの手続きの中で、「②エスクローが指定した所有権移転登記必要書類の手続き」について見ていきましょう。
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個人名義と法人名義で準備する書類は違う

エスクローから要求される必要書類は、個人名義の場合と法人名義の場合で違います。エスクローは不動産取引を安全に、確実に遂行するための第三者機関。買主からは所有後の名義を確定させる書類を要求し、売主に代わって不動産売買代金を受領します。売主からは所有権を移転するために必要な書類を受領し、また売却に伴い米国ならびにハワイ州で規定されている源泉徴収税の徴収に関しても代行をすることで、法的にも税務的にも確実な取引を可能にしているのです。

売主としてエスクローへ準備・提供しなければならない書類には下記のものがあります。

エスクローに関する必要書類

売主が準備すべき書類一覧

上記がエスクロー関連書類となりますが、使用するエスクロー会社によっては必要書類に若干の差が生じます。

上記図表から分かるように、個人名義よりも法人名義のほうが手配すべき書類が多くなるのが一般的です。当然、法人名義ですから、法人としての意思決定機関である取締役会で承認される必要があります。また、その決議をした人が取締役であるかどうかを判断するための謄本が必要となり、謄本の提出先はハワイのエスクローなので英訳が必要となるわけです。

日本の謄本だけでは不十分です

日本の公的書類である謄本は、ハワイでは単体では効力がありません。そのため、ハワイ州の弁護士にその効力を証明してもらう必要があります。そこで「Letter of Good Standing」という、弁護士の署名入りの「法人存続証明書」を作成してもらうことになります。そこまでやってはじめて当該法人が不動産の所有者であり、売却する意思決定をしたものと認められるわけです。

ハワイのグッドスタンディング

売却価格から7.25%徴収するハワイ州源泉税「HARPTA」

また、ハワイ不動産の売却時には注意が必要な点があります。

それは、米国から見た「外国人」が不動産の売主になる場合には、売却代金に対して15%を源泉徴収されるということです。これは「FIRPTA」という制度で、目的としては、外国人が米国不動産を売却して利益が出ているにも関わらず、その申告をしっかりと行わずに自国へ帰ってしまうことを防ぐための制度になります。米国側としても、その譲渡益に対する課税を外国まで徴収しにいくのは容易ではないため、譲渡益が出ているかどうかによらず、一旦売買代金の15%を徴収し、実税額を確定後に余剰金を返金する、という流れになりました。要は、税金の取りっぱぐれを防ぐための制度です。

また、同様の意味合いの制度として、ハワイ州にも「HARPTA」という制度があります。こちらは、上記「FIRPTA」と同様に、売買代金に対して7.25%の源泉徴収を行う制度です。ですので、結論は連邦源泉税とハワイ州源泉税を合わせると、売却価格に対して22.25%が一時的に留保されることになるため、売却時には注意が必要です。


9月15日以降、売却時の源泉税率が上がりました


なお、「HARPTA」に関しては、法人名義の場合は免除されることがあります。

方法としては、当該法人をハワイ州のDCCA(Department of Commerce and Consumer Affairs)という商業消費者省にビジネス登録をしておくことで、ハワイ州の事業体と同様の扱いをしてくれるため、7.25%の源泉税が不要になります。その免除申請書類が法人名義の必要書類「⑧Form N-289」という書類になります。

※個人名義の場合は対応のしようがないので、強制的に22.5%が留保されるとお考え下さい。

最後は公証手続き

これらすべての書類をエスクローが作成し、売主側に手続きを求めてきますので、売主エージェントと共に手配を進めていきます。最終的に、上記必要書類の共通項目にある「6. Deed(譲渡証)」への署名は、購入時と同様にアメリカ大使館・領事館、もしくは東京/神奈川/大阪の公証人役場にて「公証」をしてもらう必要があります。もちろん、ハワイ現地でも公証の手続きは可能です。

アメリカ大使館・領事館(東京・札幌・大阪/神戸・福岡・那覇)での公証は予約が必須で、公証1箇所につき$50ドルの費用がかかります。

また、公証役場の場合は基本的に予約は不要で、直接訪問して公証をお願いすることになります。公証費用は11,5001部)です。

ここまで手配が完了すると、売主としては、あとは売買契約書で合意した引渡日を待つのみとなります! 引渡日当日には、エスクローの担当者が登記に必要な書類を登記所に持ち込み、登記手続きを行います。それと同時に、エスクローが預かっていた売却代金から上記の源泉税・諸費用を差し引いた金額を、「Disbursement/Wiring Instruction(売却代金支払方法指示書)」に記載の方法で売主へ支払います。

これで、ハワイ不動産売却に関する一連の手続きが終了となり、売却完了となります!

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