ハワイ不動産売却ガイドNo.5</br>売主が知っておくべき6つのステップ

ハワイ不動産売却ガイド第5弾は、売買契約が成立してから引き渡しまでのエスクロー期間中に、売主としてどのような手続きがあるのかを詳しく見ていきましょう。

エスクローオープン後、売主・買主の手続きがスタート

ハワイの不動産取引を安全にしている大きな理由が、必ず取引の間にエスクローという第三者機関が入るということがあります。エスクローは、当事者に代わって所有点移転登記の手続きを行うこともあり、権利関係に関しては徹底した権力を持っています。実際には権利関係を調べるのはタイトル会社という別会社ですが、ほとんどの場合はエスクローとタイトルは同じ会社が扱っていることがほとんどです。エスクロー担当者には、物件権利の書類が本物かどうか政府機関とやりとりして調査を実施する強力な権限が付与されており、これにより不正がまかりとおることはまず不可能とみられているのです。今話題の地面師は、このエスクローシステムがあるハワイでは考えられない事態と言わざるを得ないのです。
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さて、売買契約が成立し、エスクローがオープンすると、売主/買主双方の手続きがスタートします。引渡しまでのプロセスとしては、大きく分けて2つあります。

①売買契約書に規定された各条項の履行手続き

②エスクローが指定した所有権移転登記必要書類の手続き

まずは「①売買契約書に規定された各条項の履行手続き」に関してですが、これは各条項に売主と買主の間で合意した手続期日が存在します。その期日を過ぎないように手続きを進める必要がありますが、売主側で必要な手続きには主に下記のものがあります。

I-1:売主による情報開示(Seller’s Disclosure)

売主が売却不動産に関して把握している情報を開示するための書類。日本とは違い、ハワイには瑕疵担保責任がないため、この開示内容に誤りがあり隠れた瑕疵があったとしても売主の責任にはなりません。

※売主が自分自身で記入する必要があります。

E-3:家具/備品リスト(Inventory List)

売却物件に家具や備品も備え付けで売却する場合、何が含まれて何が含まれないかを明確にするために、含まれるものをリスト化します。

※売主に確認を取りながら、売主エージェントが作成するのが一般的です。

※ホテルコンドミニアムなどの場合は、元々ホテルスタンダードの家具/備品があり、それをそのまま引き渡すことになります。その際はすべての家具/備品リストを売主エージェントが作成。

M-1:コンドミニアムプロジェクト書類(Condominium Documents)

コンドミニアムを売却する際には、そのプロジェクト全体の概要を記した書類一式を買主に提供します。

※売主エージェントが手配し買主側エージェントへ提出。手配に要した費用は引渡時にエスクロー内で精算されるのが一般的です。

N-1:賃貸借契約書等(Rental Documents)

賃貸中の物件の場合、賃貸借契約書を含むレンタル関連書類一式を買主に提供する場合があります。

※売主から委任状をもらい売主エージェントが代理入手することも可能です。

L-2:シロアリ検査報告書(Termite Inspection)

ハワイではシロアリ検査を行うのが一般的です。また、その検査に関しては買主が業者を指定し、売主が検査費用を支払うケースが大半です。

※コンドミニアムでもシロアリは飛来したり、荷物に紛れて室内に入り込んで家具に住み着いたりすることもあります。シロアリ検査費用は概算で300ドル程度になります。

J-1:室内点検による買主からの補修依頼に対する回答(Inspection Approval)

上記「I-1:売主による情報開示(Seller’s Disclosure)」で売主による情報開示内容に不備があったとしても法的に責任を問えないことに対して、ハワイでは買主に室内点検をする権利が与えられています。

買主は、専門家(インスペクター)に依頼をして室内点検調査レポートを作成してもらうことになりますが、その内容によっては解約をすることが可能になっています。多くの場合は、レポートで指摘された事項について売主に補修を要求することが多いのですが、その要求を受けて補修を行なうか否かは売主次第です。

※「現状引渡同意書(As-Is Condition Addendum)」を締結している場合、補修するかどうかは売主の判断となります。「補修しない」という選択も可能ですが、買主がそれを理由にキャンセルする権利を保持しているということを理解した上で判断が必要になります。

売買契約書上に規定された売主側の主な手続きは以上になります。

案外、買主側ばかりを担当している(たくさん売っている)エージェントは、売主側の進め方がわかっていないこともありますので気をつけましょう。

やはり、売却は売却の経験豊富なエージェントがスムーズに手続きを進めていけるので安心かと思われます。

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