ハワイ不動産売却セミナー開催記念特別対談田村仁X内藤克

これまでハワイ不動産売却ガイドでは、売却における各ステップを詳しく解説してきました。今回はちょっと目線を変えて、実際に売却時に避けることができない税金についても見ていきましょう。

税金については税務のプロフェッショナルに聞くのが一番。ということで今回は、日本とハワイの税務両方に詳しい、税理士法人アーク&パートナーズ代表税理士でハワイ相続プロジェクトの代表を務める内藤克先生と、Crossover Internationalの田村との対談形式にて様々な疑問にお答えしてもらいたいと思います。

12月13日(木)と12月16日(日)に、内藤先生と田村がハワイ不動産売却セミナーを開催することになりました。今回の対談はその特別前哨戦です。もっと詳しく知りたいという方は、是非セミナーへご参加ください。

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損切りでも源泉税は必要です

田村:日本の方が所有しているハワイ物件を売却した時に気をつけなければならない点はありますか?

内藤先生(以下、内藤):色々な方々のご相談を受けていますが、時々ドルを円に替えた時に課税されると勘違いされている方がいます。ハワイ不動産を売却すると当然ドルを受け取るわけですが、そのドルを円に替えたタイミングで日本で課税されるかと思われているわけですが、実際はそうではありません。税金の計算は、譲渡した決済日のドル・円レートで行います。

田村:仮に100万ドルで物件を売却して、受け取ったドルをハワイの銀行に預金として置いておけば課税されない、という訳ではないのですね?

内藤:そうですね。また、日本人はアメリカから見れば非居住者となりますので、非居住者が不動産を譲渡した時ハワイ州と連邦に源泉税を納めなくてはなりません。そのため、資金繰りを考える上で譲渡額がそのまま手元に入ってくると想定してしまうと、ショートしてしまうことになりかねないので気をつけたほうがいいですね。

田村:一時的にしても、売却時には22.25%の源泉税がかかるというのはわかりますが、仮に100万ドルで購入した物件を90万ドルで売却した場合、これは売却益が出ないので源泉税も支払う必要がないのでは?というご質問をよく伺うのですが、これはどうなのでしょうか?

内藤:これはよく勘違いされる点なのですが、「売却益」に課税されるわけではなくて、「売却額」に対しての課税なので、泣く泣く損をしながら売却した場合でも、源泉税は収める必要があります。ルール上は、売却益がないとあらかじめ分かっている場合は源泉税の免除申請も可能なのですが、この申請には時間がかかるため実務上は難しいのが現実なのです。

田村:そうなると、日本人がハワイ不動産を譲渡する場合は、ハワイ州に7.5%、連邦に15%の源泉税を納税するものと想定しておくべきということですね?

内藤:そうですね。一旦源泉税を納めた後は、アメリカの確定申告期限である4月15日までに実際のドルでの売却損益を計算していきます。法人の場合は決算までに、ということになります。実際の損益に基づいてどれだけ源泉税が戻ってくるかを計算することになります。

田村:実際売却した際の税務の流れを教えていただけますか?

内藤:まずは売却した時点で売却額に対して22.25%の源泉税を納税します。翌年の3月15日が日本での確定申告期日になりますので、その際にこの22.25%を外国税額控除として申告をすることが可能です。外国で収めた税金は丸々控除可能かというとそうでもないので注意は必要です。国内・海外における所得の割合によって按分して、その限度において控除が可能となります。

次に、ハワイの確定申告期日4月15日がきます。それまでに、実際の譲渡損益を算出しそれに応じて納税または還付を申請することになります。日本の確定申告では仮の22.25%で外国税額控除をしているので、このハワイの確定申告時に算定された実際の税額にて再び日本で修正申告をすることになります。このように、売却後には大きく4回の税務ポイントがやってきます。

1)源泉税を納税

2)日本の確定申告で外国税額控除

3)ハワイの確定申告で実際の損益に対する税金を算定

4)日本で修正申告

 

売却のタイミングを左右する長期と短期の境界線

田村:所有期間に応じて減価償却をしていくことになると思いますが、日本とアメリカではその計算方法が違います。日本の方が気をつけるべき点はありますか?

内藤:日本においては減価償却をして帳簿価格が下がっていきますね。実際の売却価格と、減価償却後の帳簿価格との差額が売却益という扱いになってしまいます。しかしアメリカでは、減価償却をして下がった帳簿価格と、実際の購入時価格と売却時価格との差額とは分けて税金計算をするので日本とは扱いが異なってきます。

ここで気をつけた方が良いポイントがあります。日本で減価償却をして節税をしていても、売却時にはそのまままた売却益が課税されるから税金を繰り延べているだけでないか?と言われる方がいます。

しかし日本の場合は、不動産譲渡で得た利益は譲渡所得と言って他の所得から分離されています。節税時は総合課税と言って、給与などの他の所得と通算して考えますが、売却時の所得はいわゆる分離課税というものになります。さらにその中には、短期譲渡と長期譲渡があり税率が異なってきます。長期と短期は、所有期間が5年ということになっていますが、この5年の数え方も単純に所有してから5年経っていれば良いわけではなく、譲渡した年の1月1日時点で5年経過していなくてはなりません。例えば12月31日に譲渡をした人は最短で長期譲渡が可能で、1月1日に譲渡をした人は6年近く必要ということになるのですね。そのためよく、お正月を6回迎えてから売りなさい、と言われています。

 

1031エクスチェンジは使えない?!

田村:それと、日本だと事業用不動産の買換え特例というものがありますが、ハワイではどうでしょうか?

内藤:アメリカでも「1031エクスチェンジ」という買換え特例制度があり、非居住者に対しても適応可能なようです。よくハワイで減価償却が終わって節税効果でお金も貯まったので、より大きな物件へ買い換えようかなという時にハワイの不動産エージェントから勧められたりするようです。しかし、アメリカの税金としては非居住者でも繰り延べが可能ですが、日本の買換え特例は海外不動産が対象になりません。つまり日本ではただ売却しただけということになります。

田村:ということは、この1031エクスチェンジは日本人にはメリットはないということでしょうか?

内藤:そういうことです。逆に、売却して得た資金を次の物件購入の資金へ充当しているわけですから、手元に納税資金がないということになり得ます。納税額をきちんと確保し、余った資金で物件を購入しているなら良いのですが、売却して得た資金にさらに追加資金を出して次の物件を購入していて、確定申告の時に日本の税金は繰り延べできないことに気がついて納税資金が足りない、などということになり得るので注意が必要なのです。

 

まだまだ話しは続きますが今回はここまで。今回のポイントは以下の4つでした。

 

ポイント1 円転したタイミングではなく、決算時のレート税金を計算する

ポイント2 源泉税を納める想定で資金繰りを

ポイント3 長期譲渡はお正月を6回迎えること

ポイント4 日本の名義では1031エクスチェンジはメリットなし

 

次回は、譲渡費用や相続についても内藤先生に伺っていきます。

 

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内藤 克 Katsumi Naito
ハワイ相続プロジェクト 代表 税理法人
アーク&パートナーズ 代表税理士

日本とハワイにまたがる税務法務をワンストップで解決。近年税務当局は海外投資に対して厳しい税制改正を繰り返しており、将来を見据えたアドバイスには定評がある。自身もハワイにコンドミニアムを購入し、ハワイライフを楽しんでいるため幅広いアドバイスが期待できる。日本の税理士・弁護士とハワイの会計士・弁護士が「日本とハワイのクロスオーバー相続」についてコンサルティングを行うプロジェクト「ハワイ相続プロジェクト」を立ち上げ、代表を務める。