Vol 2. ハワイ不動産の快進撃はいつまで続くのか!?

前回のコラムで、ハワイ不動産価格の動向をお伝え致しましたが、この空前の不動産ブームはいつまで続くのか気になるところです。

ご存じの通り、米国は今極端なインフレに見舞われており(下図参照)、米連邦準備制度理事会(FRB)もこのインフレ対策に躍起になっていることは周知の通りです。


Federal Reserve Boardより引用

その対策として大きく報じられているのが金融引き締め=政策金利の上昇。

2022年5月に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)にて0.5%の利上げを実施することはほぼ確実で、それだけでなく6月・7月にもそれと同等もしくはそれ以上の追加利上げの実施の可能性が示唆されたことにより、ダウ平均株価も大きく反応し、下落が進んできています。

この政策金利の上昇が不動産市況にどのように影響するのか、というと、当然「住宅ローン金利」へ反映されてくることとなります。

前回お伝えした通り、コロナ禍の経済政策としての金利緩和を推し進めた結果、米国の住宅ローン金利はかつてないほど下がり、30年固定で3%を切る水準まで動きました。
これにより、アメリカ人の不動産購入意欲が爆発し、不動産価格の上昇に拍車をかけたということは間違いありません。
ところが、この政策金利の変動により、住宅ローンも大きく影響を受けているのです。


Freddie Macより引用

こちらはFreddie Mac(連邦住宅金融抵当公庫)が開示しているデータになりますが、過去10年の米国の住宅ローン金利推移です。
2022年に入ってから、米国住宅ローン金利がかなり急激に上昇していることがお分かり頂けるかと思います。日本にいると数ヶ月で2%前後も住宅ローン金利が上がるということは、考えられないかもしれませんが、米国では実際にこの変動が起こっているのです。
30年固定ローンはついに5%を超えて、過去10年で最も高い金利となっています。

一般的に考えて、住宅ローン金利が上昇をすることにより、不動産を購入しにくくなる、ということは容易に想像がつきますが、米国人にとっては、不動産は基本的に値上がるものであり、お金を借りてでも買う、ということが当たり前です。なので金利を払ってでも購入をするのですが、融資を受けるにあたっては「収入に対する返済比率」というものが存在し、この金利の急上昇によって、今まで手が届いた物件だったのに、融資が下りない、つまり購入ができない、ということが起こり得るのです。

そうなったときに、今まで右肩上がりで推移してきた不動産価格に関しても、Buyerが減少することになるため、価格の上昇に一定の制限が加わる、というのがセオリーです。

ただし、インフレを抑制するための金利上昇ですが、狙い通り効果を発揮するのかどうかは現時点では不透明です。
急激な上昇により、実体経済への悪影響も当然発生しますし、特に米国株価の下落圧力が大きくなるでしょう。その流れでFRBも政策金利を見直さなければならないタイミングも来るかもしれません。

不動産自体は正真正銘の実物資産です。インフレ時などにはむしろ現金から実物資産に移すことも大事になってくるわけですので、一概に今回の政策金利が不動産市況にマイナスの影響だけを及ぼすということも考えにくいのが現在の状況です。


S&P Dow Jones Indicesより引用

こちらがS&P ケース・シラー住宅価格指数という、米国の住宅価格動向を示す最も一般的な指標の一つです。2000年を「100」とした時の各年度の住宅価格を指数化したものですが、2022年現在、2000年から約3倍の価格になっていることが見て取れます。

我々日本人から考えると、5%の住宅ローン金利で家を買うことにはかなり抵抗があると思うのですが、事実として、米国では1年で不動産価格が20%も上昇しているのです。その状況下においては、5%の金利を払っても全然ペイできてしまう訳ですね。
むしろ、このインフレを本当の意味で押さえ込むには、この金利上昇でさえ全く追いつかない、ということになってしまうのです。

特に、ハワイ不動産は2008年のリーマンショック時にもアメリカ本土のようには大きな下落をせずに持ちこたえた実績があり、同じ米国内でも特殊な環境にあります。
今回の一連の金融政策を受けて、上昇ペースが緩やかになることは想定されますが、ハワイ不動産は価格を維持・上昇継続する可能性も大いにあり得るという考えもできるのではないでしょうか。

投資として考えたときには、「大底で買って天井で売る」、ということが理想ではありますが、どんな投資でも100%の利益幅を取ることは難しいものです。
少なくとも現在の状況は、天井付近と思われる価格での売却が可能なのではないかと思いますので、このタイミングでの売却というのは、投資判断としては「◎」になるのではないでしょうか?