Vol 3. 気になる為替動向 どこまで円安に振れるのか?

2022年3月以降、急激に進んでいる円安。
$=115円前後だったレートが、1ヶ月で10円以上も円安に振れてきております。
ついに4月末には節目の130円を突破する状況になってきましたが、果たして今後どのように動くのかが気になりますね。

前回のコラムでお伝えした通り、米国がインフレ抑制のために政策金利を大きく上げてくることが予想されています。
一方、日本は量的緩和を継続する姿勢を日銀が鮮明に打ち出しており、ゼロ金利を維持する方向です。
この政策の違いが日米の金利差を生み、米ドルを買って日本円を売る、という円安構造に陥っているのが今の状態ですよね。

急激な円安に対して、日銀や日本政府から牽制する発言も出てきておりますが、マーケットの受け止めはシビアで、大きく改善する様子は見えません・・・。
もちろん為替の動きを正確に予測するのは至難の業ですので、確定的なことは何も分かりませんが、現状はさらなる円安に振れる可能性が高いような気がしますね。


そんな中、米ドル実物資産であるハワイ不動産をご所有の方は、先見の明がおありだった!と言えるのです。
Vol. 1でお伝えした通り、日本人投資家の皆様にとってのハワイ不動産の資産価値は「ドルベースでの不動産価格」×「米ドル/円」ということになります。

現在、ドルベースの不動産価格も高水準にあり、為替も大幅な円安基調にある中で、皆様のハワイ不動産は大きな「含み益」を抱えている状態にあるということになります。
ただし、これはあくまでも「含み益」ですので、実現した利益ではないのですね。

現時点の環境下においては大きな含み益だとしても、不動産価格も為替も当然変動しますので、未来永劫現在と同じ利益が生じるのかどうか、これは誰にも分からないところではないでしょうか?

そこで一つご提案させて頂くと、上記の2つの「変数」のうち、1つは「定数」にしてしまう、ということです。

皆様のご所有の資産は「不動産」です。
投資の世界において、株式等と比較すると不動産は安定資産の一つといえるのですが、唯一のネックとして挙げられるのが「流動性」。要は現金化するまでにかかる時間が一般的な投資商品に比べて長期化する、ということですね。

仮に、何らかのサプライズがあり、為替が瞬間的に$=150円程度まで急落したとします。
そのレートが長期にわたって維持されれば問題はありませんが、各国様々な思惑がある中で「調整」が入り、また130円程度に戻る、というようなことも十分に考えられるのです。
不動産をお持ちの場合、為替が瞬間的に動いたとしてもそのタイミングで円にすることは不可能です。「含み益」がその瞬間跳ね上がるだけで、実際には何も変わらないわけです。

では、そうなる前に、ご所有のハワイ不動産を売却しておいて、その売却代金をドルで保有していたらどうなるでしょう?
既に現金化されているドルは、当然のことながら、為替の動向を見て即円転することが可能になるのです。

誤解のないようにお伝えすると、その瞬間瞬間の為替で利ざやを稼ぐ、FXのようなものを推奨しているのではありません。
どうしても不動産という資産である以上、売却して現金を手にするまでには
① 売却するという意思決定をして実際にマーケットに出すまでの時間
② マーケットに出してから買い手が付くまでの時間
③ 買い手が付いてから所有権移転登記をするまでの時間

が必要になります。
この3つのプロセスを経てはじめて、現物資産の不動産がドルへの現金化が完了することになるのですが、③だけでも通常1ヶ月以上はかかるのです。
特に②の期間は、物件自体の善し悪しや、売却価格の設定にもよりますので一概には言えませんが、早ければ1週間程度で決まることもあれば、なかなか買い手が付かずに数ヶ月かかることもあるのです。

1ヶ月あれば為替が想像以上に動くということは、2022年の動向を見ていればお分かり頂けるところかと思います。いざ、さらなる円安が進んで、円転したいと考えたときに売却を始めても、実際に円転するまでに数ヶ月かかってしまうと、その時の為替がどうなっているかは分かりません。

そのリスクや機会損失を抑え、「含み益」を「実現益」に変えるために、まずは時間がかかる不動産の現金化をマーケット状態の良いタイミングで行い、為替変動に備えておくことをご提案したい、ということです。

ハワイ不動産の売却代金はどこに入るのか?

ハワイ不動産を購入したことはあっても売却は初めて、という方が圧倒的に多いと思いますが、売却されたオーナー様から必ず聞かれることとして、「売却代金はどうやって受け取るのか?」「いつ受け取れるのか?」というものがあります。

まず、「いつ受け取れるのか?」という点についてですが、これは簡単で、不動産の所有権移転登記が完了した日にエスクローからは出金手続が取られます。
むしろエスクローは長期間売却代金を預かっておくことはできませんので、可及的速やかに出金をしなければならないのです。

では、「売却代金の受け取り方」ですが、いくつか選択肢がございます。

① 米国内の銀行口座への電信送金
② 日本国内の外貨口座への電信送金
③ 日本国内の円口座への電信送金
④ 小切手の発行

売主様が日本であれば、①~③の方法が一般的になります。

なお、③にもある通り、日本の円口座しかお持ちでない、という場合であっても、売却代金を受け取ることは可能です。ただし、この場合は最終精算が完了した売却代金がエスクローからドルで送金され、それを受け取る日本側の金融機関が着金時の為替レートで自動で円転し、各金融機関の所定の手数料を差し引いた額を円で入金することになりますのでご注意下さい。

既に米国にて銀行口座をお持ちの場合や日本の金融機関でドル口座をお持ちの場合は、ドルがそのままドルで着金することになりますので、あとはご自身のタイミングで円転すれば良い、ということになりますね。

弊社の経験上、②・③のように日本の金融機関を指定した場合でも、早ければ当日、遅くても翌日には着金確認が取れることが一般的です。
ただ、ゆうちょ銀行を指定した場合には着金までに時間を要するというお話もありますので、受取口座にゆうちょ銀行をお考えの場合は、事前に銀行側に確認されることをお勧め致します。

受取口座を指定するタイミングは、売却手続後半に「公証手続」があるのですが、その公証書類セットの中に送金先指定用紙も同封されてきますので、その時までに決定しておく必要があります。

現在は不動産取引を狙った詐欺が横行しているということもあり、送金先口座情報等をメールでやり取りすることは禁じられており、そもそもエスクローが受け付けてくれません。公証書類一式と共に、売主様のサインを入れた書類原本をエスクローに送付する必要がありますので、事前にしっかりと準備をしておきましょう。