コロナが日常を変えて早1年。外出自粛、マスクの着用、リモートワークと、世の中が新しいルールに適応すべく日々追われている間にも、ハワイ不動産は着実に売れ続けていました。コロナの被害が大きいアメリカ本土の人々がハワイに移住する動きがあること、ハワイの人々が「ステイ・ホーム」に耐えうる新たな住居へ住み替えていることは、既にこれまでの記事でお伝えしました。では、日本人を含む外国人による売買はどうだったのか。激動の2020年、最もハワイ不動産を購入した外国人は誰なのか、本記事でご紹介します。
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2020年最もハワイ不動産を買ったのは・・・
2020年、最もハワイ不動産を購入した外国人は・・・日本人でした!ランキングは以下の通りです。2位のカナダにダブルスコアで日本が1位となりました。ご参考までに、下が2019年のランキングです。日本に限らず、他国も軒並み2019年と比較して件数も総額も大幅に下がったものの、上位3カ国の順位に変動はありませんでした。
上のランキングはハワイ全体ですが、オアフ島に限定した統計は以下の通りです。こちらのグラフはハワイ州・アメリカ本土の購入者も含めた統計です。ハワイ州のローカルの人々が当然ながら1位ですが、アメリカ本土の州を抑えて日本が3位に食い込んでいるのは中々の驚きです。
過去のランキングを見てみよう!
上記の通り、2020年・2019年は日本が1位でしたが、それ以前はどうだったのでしょうか。下の表は、2015年から2019年においてハワイ不動産購入件数・金額が多かった国トップ6です。
2019 | 2018 | 2017 | 2016 | 2015 | |
1 | 日本 340件 $364.4M | 日本 610件 $746.1M | 日本 438件 $578.7M | 日本 581件 $753.7M | 日本 308件 $233.4M |
2 | カナダ 114件 $118.9M | カナダ 167件 $200.1M | カナダ 139件 $140.3M | カナダ 116件 $102M | カナダ 152件 $129.8M |
3 | 韓国 30件 $35.4M | 韓国 28件 $45.8M | 中国 30件 $40.7M | 中国 30件 $39.5M | 中国 26件 $23.6M |
4 | 香港 9件 $11.2M | 中国 20件 $21.5M | 香港 26件 $84M | 香港 21件 $32.5M | 香港 22件 $25.4M |
5 | 台湾 8件 $5.6M | 台湾 17件 $17.8M | 韓国 24件 $26.8M | 韓国 12件 $23M | シンガポール 12件 $14.3M |
6 | 中国 7件 $5.1M | 香港 15件 $22.4M | シンガポール 11件 $35.6M | シンガポール 11件 $22.6M | オーストラリア 11件 $3.4M |
首位に日本が並ぶ結果となりました。日本は2014年に1位となって以来、2019年まで常に購入件数・総額ともに圧倒的な1位をキープしてきました。日本人のハワイ好きを物語る数字です。
諸外国のハワイ不動産事情
過去のランキングから分かる通り、ハワイ不動産を多く購入する国はほぼ固定されています。各国のハワイ不動産をめぐる事情を簡単にご紹介します。
ランキング常連国カナダ
ハワイはカナダ人の避寒地として人気であることは、よく知られたことでしょう。パンデミック以前、カナダからのハワイへの訪問者数は、日本人についで常に2位を占めていました。コロナ発生後、ハワイ州は州外からの訪問者に到着後14日間の自己隔離を義務付けていましたが、11月中旬より、事前にハワイ州が指定する医療機関で陰性証明を取得すれば、到着後の自己隔離が免除されるようになりました。このプログラムの対象は当初アメリカ本土、日本、カナダからの渡航者であり、(もちろんそれぞれの国の感染状況を鑑みてのことではありましたが)日本と同様にハワイを好むカナダからの訪問者を呼び戻し、経済の復興を狙うものでした。それほどハワイとカナダの結びつきは強いと言えます。
カナダの西海岸からハワイまでは直行便で約5時間程度、言葉も変わりませんので、物理的・心理的に距離が近い国です。更に国土のほとんどが寒帯・亜寒帯に属するカナダの人々にとって、年中温暖な気候のハワイが魅力的であることは想像に難くありません。冬のバケーションを過ごすための不動産購入者が多いことも納得できるでしょう。
日本人と同様にハワイ好きなカナダ人ですが、不動産購入エリアの傾向は大きく異なります。日本人が利便性の高いオアフ島を好むのに対し、カナダの人々に人気があるのはマウイ島とハワイ島です。以下の3点は2020年のハワイの島別外国人バイヤーランキングです。日本人も少しずつマウイやハワイの物件に興味を持ち始めていますが、今後も棲み分けは続きそうです。
ハワイ投資に積極的な韓国
2015年、韓国は10件の取引で、ギリギリ上記表外の7位でした。そこから順調に取引数を伸ばし、2018年から昨年にかけて3年連続で3位をキープしています。その背景には、韓国企業がハワイ不動産業界に積極的に進出していることが挙げられるでしょう。2015年の韓国のMirae Asset(未来アセット金融グループ)によるハワイ島のFairmont Orchid Hotel取得を皮切りに、同じMirae Assetが2016年にHyatt Regency Waikikiを、他の韓国企業がPolynesian Plaza boutique hotelやHawaii Kai Golf Courseを取得するなど、韓国企業によるハワイ不動産への投資が盛んです。
また、韓国の開発業者Samkoo Pacificによるコンドミニアム、Kapiolani Residenceが2018年に竣工、同じ開発業者が現在The Central Ala Moanaを建設中です。韓国製の家電製品を使い、ウェブサイトも韓国語で閲覧できるなど、韓国人・韓国系の人々に購入しやすい物件です。シンプルな内装と設備で価格を抑え、購入のハードルが低いこともあり、販売開始後すぐに完売しました。ホノルルはアメリカ国内でロサンゼルスに次いで韓国系の人口が多い都市でもあり、韓国人のハワイ不動産購入は今後も伸びていくと予想されます。
意外と少ない中国
一方、各国が懸念を示すほど熱心に世界中で不動産を購入している中国人が、ハワイでさほど購入数を伸ばしていないのは意外に感じられるのではないでしょうか。ハワイにおける中国系の人々の歴史は長く、18世紀にアメリカ人がハワイに定住する以前に、既にハワイに住んでいたとされています。その後19世紀に更に多くの中国人が移民としてハワイに流入し、現在もハワイの人口の約1/3は中国にルーツがあります。
そうであれば尚の事、もっとハワイ不動産を購入していてもおかしくないように思いますが、そこには中国の人々の海外不動産購入の動機が関係しているようです。日本人やカナダ人とは異なり、中国の人々の海外不動産購入の大きな目的は現地の永住権やパスポートの取得、子どもの教育です。ハワイ不動産を購入しても永住権やパスポートは取得できませんし、教育水準もメインランドの方が高いということで、中国の人々にとってハワイ不動産は然程魅力的ではないようです。
2021年はどうなる?
多くのハワイ不動産エージェントが、2021年は前年の反動で、海外バイヤーの購入が急増すると予想しています。日本人にとっては帰国後14日間の外出自粛がネックですが、逆にその点がクリアできれば、ハワイ現地で物件を見ることも可能です。実際に、今年(2021年)のお正月にハワイを訪れた日本人のお客様もいらっしゃり、内見のご案内も何件かありました。ハワイでは既にアメリカ本土からの渡航者が増え、賑わいが戻りつつあります。このまま世界でワクチン接種が進めば、楽観的な空気が広がり、早い段階で投資目的の購入も増えることはほぼ確実でしょう。2021年1月・2月の統計は既に、パンデミック前であった2020年の取引件数および総額を上回っています。
昨年1年、世界中のニーズに応えるべく、ハワイの不動産エージェントはバーチャルショーイング(ビデオ通話による内見)に力を入れてきました。それに対して、購入者側もリモートワーク等を通して、商談や内見がバーチャルで行われることへの抵抗が薄れてきたように感じられます。こうして新しいツールも加わって、ハワイ不動産は2021年も力強く伸びていくことが予想されます。
参考記事:2020年のハワイ不動産市場を振り返る -結局ハワイ不動産は売れたのか-