2020年のハワイ不動産市場を振り返る-結局ハワイ不動産は売れたのか-

東京では新年早々に緊急自体宣言が発令され、昨年に引き続き、新型コロナの影響を強く感じる船出となりました。ハワイへ行くこともままならないままそろそろ1年が経とうとしており、ハワイ不動産をお持ちの方や、購入をご検討中の方は不安を持って動向を注視していることと思います。新年の一手のご参考となるよう、オアフ島2020年の不動産取引に関するレポートをご紹介します。

「戸建て vs コンドミニアム」は戸建ての快勝

2020年、これまでになく好調だったのが戸建ての取引でした。下の図1は2020年1〜12月、1年間の要約です。緑の数字が2019年を上回ったもの、赤の数字が下回ったものを表します。

まず、左側縦の列が戸建ての結果です。取引件数が3.7%上昇、取引価格中央値は5.1%上昇、取引総額も9.3%の上昇となり、全ての面で2019年を上回る結果となりました。これは2020年11月ハワイ不動産市場動向でもご紹介したように、コロナによって家で過ごす時間が増え、より良い住宅への需要が高まったことと、記録的な低金利が富裕層の購買力を更に高めたことが背景と考えられます。

図1:2020年1年間のオアフ島不動産取引まとめ

一方、図2中央縦の列がコンドミニアムですが、取引件数は12%減少、取引総額も15.1%減少、価格中央値のみが2.1%の上昇となりました。数字が落ちた原因として、真っ先に思いつくのはやはりコロナですが、実際には一概にコロナだけの影響とも言い切れないようです。ご参考までに以下、図2は2019年の要約です。

図2:2019年1年間のオアフ島不動産取引まとめ

右肩上がりのイメージが強いオアフ島のコンドミニアム売買ですが、2019年も取引件数と取引総額は前年を下回っていました。実のところ、コンドミニアムのこの傾向はコロナによって始まったものではなく、ここ数年の傾向です。

下のグラフは2005年から2020年までの、オアフ島でのコンドミニアム・タウンハウス売買成約件数の遷移を表しています。2006年6月の9,656件から、リーマンショックにより2009年8月には3分の1の3,106件まで減少。その後新規コンドミニアムの建築ラッシュにより順調に増加が続きましたが、その販売が落ち着いた2017年後半に減少に転じました。コロナの影響もあったものの、2020年もその流れが続いたと言えます。

グラフ1:2005-2020年オアフ島コンド/タウンハウス成約数

コンドミニアム市場も復活

大きな流れが掴めたところで、2020年の月別の数字を見てみましょう。日本の方がご興味あるであろうコンドミニアムに絞ってご紹介します。

下のグラフ2はハワイ州全体の月別コンドミニアム取引件数です。各月の半分以上を占める、一番色の濃い部分がオアフ島の数字です。ハワイ州で春先に発令された外出制限の影響で、4〜6月にかけて大きく落ち込んだものの、そこから年末に向けて順調に回復している様子が分かります。特に2020年12月はオアフ島での成約件数は531件、2019年12月の成約件数444件を大きく上回る結果となりました。取引件数、取引価格中央値、取引総額の全ての指標で昨年同月を上回り、2021年へ向けて良い流れを作る月となりました。

グラフ2:2019.12〜2020.12ハワイ州コンドミニアム取引数

ハワイの不動産業界では昨年1年、内見時の人数制限や物件での消毒・換気の徹底、バーチャル・ショーイングの導入など、新型コロナを乗り越えるべく新しい規則と手段を取り入れ、施行を徹底してきました。そのような業界の努力も、取引件数の回復を後押ししたと言えるかもしれません。コロナを取り巻く状況は世界的に一進一退ですが、ハワイ不動産に限っては既に底は脱したと見てよいのではないでしょうか。

日本人に人気のホノルルに異変

日本人バイヤーに人気のコンドミニアム市場が復活したのは喜ばしいことです。2021年にスマートに動くためにも、昨年売れたエリアと価格帯をここでしっかり押さえておきましょう。以下表3はエリア毎の取引件数、取引総額、中央値を昨年と比較したものです。

表3:2020年12月オアフ島エリア別不動産取引まとめ

はっきりとした傾向を見てとることができるのではないでしょうか。戸建てはどのエリアも概ね好調ですが、コンドミニアム市場はエリアによって明暗が分かれました。前年比を上回ったのはセントラル、リーワード、ノースショア。下回ったのはホノルルとイースト・ホノルル。特にホノルルに赤い三角が目立ちます。日本人に人気のホノルル、コンドミニアム市場が苦戦した様子が伺えます。

以下の表4は2019年12月の要約です。上の表3と比較していただくと、この1年でどれだけ傾向が変化したか、お分かりいただけると思います。2019年のコンドミニアム市場はホノルル、イースト・ホノルルが比較的好調、セントラル、リーワード、ノースショアは前年比を下回る指標がほとんどでした。

表4:20219年12月オアフ島エリア別不動産取引まとめ

ホノルル、特にワイキキ周辺は短期レンタル可能なコンドミニアムが多いエリアです。短期レンタルが可能な物件は自己利用と収益性を両立しやすいので、これまで人気がありました。ただ、旅行者がほぼゼロとなった今回のパンデミックでは、これが仇となってしまったようです。自己利用もできず、借りる人もおらず、経費の負担が大きくなって売りに出しても、以前のような価格では売れなくない・・・。これを好機と捉えたバイヤーがこれまでよりも低い価格で多くの物件を購入したため、取引件数が増え、中央値と取引総額が減少するという結果になったものと思われます。

セントラル、リーワード、ノースショアが好調であった要因としては、コロナを憂慮して混み合ったホノルルを避け、人口密度の低いエリアで、在宅時間を充実して過ごせる広めの物件に人気が集まったと推測できます。

2020年、ハワイ不動産は・・・

ここまでをまとめると、指標によってバラつきはあるものの、総じて「2020年、ハワイの不動産は売れた」と言ってよいのではないでしょうか。コロナの衝撃が世界を襲ってから1年未満、まだ闘いが続く中でここまで市場が回復したことに驚き、ハワイ不動産の強みを改めて感じた年となりました。

現在、これまで日本人に人気だったホノルルのスタジオ〜2ベッドルームなどの手頃な物件は、買い手市場です。コロナの影響は永遠に続くものではありませんので、これをチャンスと見て購入するのも一手です。一方、リモートワークは今後も定着すると思われますので、昨年からの新たなトレンドである「都心を離れた広めの物件」を検討することも選択肢の一つです。それぞれが思い描く今後のプランによって、正解は変わります。

Crossoverでは売却、購入、管理の全ての面で、お客様のご事情やプランに合わせたお手伝いをさせていただきます。まずはご相談からお気軽にご連絡ください。