ハワイ不動産購入ガイド Vol.2

決済日を延長できないとどうなる?

Vol.2では、契約書の3ページ目・4ページ目を見ていきます。

E-4:Inclusion of Furnishings(家具・備品リスト)

日本では通常家具などは処分して空室として売買されますが、ハワイではそうとは限りません。特にTrump Tower WaikikiやThe Ritz-Carlton Residences Waikikiのようなホテルレジデンスの場合、不動産売買時に、室内の家具や備品も全てそのまま引渡されることがあります。

もし家具付きの物件を購入となった場合、もれなく確実に引き渡すために室内にある家具や備品をリスト化します。そのリストに、双方のサインがサインすることになります。リストは売主側で作成し、買主側が確認する、という流れですが、リスト提出に関しても期日を設定します。その期日までにリストが上がってこない場合には、買主側は売買契約を解約することも可能となります。

F-1 / F-2 / F-3:Closing(決済)

クロージングとは「決済」のことです。

F-1の条項で、所有権移転登記に必要な書類の提出が提出され、ハワイの登記所へ登記される日程をクロージング日とする、とあります。

F-2では不動産の引渡日を指定します。一般的には売買契約成立日を起算日として、そこから30日~45日くらいで日数を指定して設定します。

F-3はF-2で設定した日程の変更に関しての条項になります。(a)を選択した場合には、売主/買主どちらか一方が引渡日程の延長を求めた場合、その当事者が他方へ書面による通知を出すことで延長が可能になります。(b)を選択した場合には、基本的には期限厳守です。しかし、売主/買主双方の書面による合意あれば延長不可となります。逆に言うと、合意形成できない場合は売買契約を解約できるようになります。

F-4:Escrow(エスクロー)

『海外不動産投資は危険?』の記事で紹介した、エスクロー会社に関する条項になります。まれに、売主側がエスクロー会社を指定しているケースもありますが、そうでなければ、買主側が希望するエスクロー会社を記入します。エスクロー会社は不動産売買手続の要ですので、日本人担当者がいるエスクロー会社を指定するなど、しっかりと選定をしましょう。

ハワイで展開している主なエスクロー会社
・Title Guaranty Escrow Services 
・Fidelity National Title & Escrow
・First American Title

 

売主と買主の費用負担はどうなっている?

F-6:Closing Cost(売買時諸費用)

ハワイの不動産取引では、発生する諸費用の負担割合は契約書にもともと記載されています。何か特別な合意がない限り、基本的には記載されている負担割合で進みます。

<買主が負担>
エスクロー会社の手数料50%
住宅ローンを使う場合はその費用
Title Insurance という、不動産の所有権に対してかける保険料の40%
買主の公証にかかる費用
登記費用(売主の所有権抹消にかかる費用は除く)
コンドミニアムの組合名義変更費用、など

<売主が負担>
エスクロー会社の手数料50%
所有権移転書類の作成費用
Title Insurance という、不動産の所有権に対してかける保険料の60%
売主の公証にかかる費用
売主の所有権抹消にかかる費用
必要な調査費用(シロアリ検査など)
譲渡税(Conveyance Tax)
FIRPTA/HARPTA(源泉税)、など

F-8:Assessments(賦課金)

税金の未納や、管理組合への支払いが発生した場合の負担の取り決めを行います。契約成立までに発生している賦課金があれば売主側が負担するのが一般的。

万が一、契約締結日から引渡日までの間に新たに発生した賦課金が出てきた場合には、売主は速やかに買主へ開示し、負担割合を取り決めることになりますが、その負担割合に双方合意できない場合には売買契約を解約することができます。

G-2:Title(不動産の権利調査)

G-1にて、エスクロー会社は当該物件の権利関係を調査したPreliminary Title Report(事前権利調査報告書)を提供します。レポートにより、権利関係に不備があった旨が報告された場合、買主は売買契約を解約することが可能です。

買主が解約をしない場合、売主は不備を是正する期間を設けられますが、期間内に是正できなかった場合、買主としてはそのまま購入を進めるか解約するかを再度検討することができます。権利関係に不安がある物件は買うべきではないかもしれませんね。