2024年度 ホノルル固定資産税に新カテゴリー増設!

カテゴリー新設!

ホノルル不動産の固定資産税の年度は毎年7月1日に開始し、8月に1回目、翌年2月に2回目の支払いがあります。2024年度も8月20日に1回目の支払い期限を迎えましたが、新たな税率区分が追加されたことにお気づきになりましたか。ホノルルの不動産は価格・用途別にカテゴリー分けされており、固定資産税の算出にはそれぞれに異なる税率が適用されます。これまでカテゴリーは10種類だったところ、本年度より新たなカテゴリーが追加され、全11カテゴリーとなりました。

本年度追加されたカテゴリーは「Transient Vacation」です。基本的にはホテルコンドミニアム以外の短期賃貸が該当し、多くの日本人オーナーに影響を与える変更となりました。


過去の変更は以下の記事をご参照ください。
-2019年度の変更点-
-2023年度の変更点-


「Transient Vacation」とは?

まずはLAND USE ORDINANCE(土地利用に関する条例)から「Transient Vacation」の定義をご紹介します。

90日以下の賃貸による報酬を受け取る不動産のうち、Bed and Breakfast(同一建物内に所有者または運営者が居住している短期賃貸物件)、タイムシェア、ホテルユニットを除き、以下2点の条件に該当するもの。

1. 「報酬」は金銭による支払いだけでなく、賃借人によるサービスもしくは労働を含む
2. 90日以上の長期賃貸契約後、月毎の更新に移行した賃借人は除く

例えばレンタル会社を通して90日未満のバケーションレンタルユニットとしてお部屋を賃貸している場合や、ご自身でAirBnBなどを活用して90日未満の賃貸を運営している場合、上記カテゴリーに該当します。

新カテゴリーの税率は何%?

「Transient Vacation」はカテゴリー内でTier1とTier2の2段階に分かれており、それぞれの税率は以下の通りです。不動産評価額が$800,000未満の場合は0.9%、不動産評価額が$800,000を超える場合は$800,000までは0.9%が適用され、$800,000を超える部分は1.15%で計算されます。

Tier1(不動産評価額が$800,000まで):0.9%
Tier2(不動産評価額が$800,000以上):1.15%

例えば不動産評価額が$1,000,000の物件の場合、以下のように計算されます。

Tier1:$800,000 × 0.9% = $7,200
Tier2:$200,000 × 1.15% = $2,300
合計:$7,200 + $2,300 = $9,500

ご参考までに2022年度、2023年度、2024年度の税率のリストは以下の通りです。青く囲った部分が各年度の変更部分です。画像はクリックで拡大します。

2022年度
2023年度
2024年度

カテゴリー増設の背景

観光業が経済の柱となっているホノルルでは、旅行者に不動産を短期賃貸することはメジャーなサイドビジネスの1つです。一方で、短期賃貸は周囲の住環境の悪化や住宅不足の要因となっていると考えられ、長らく議論の対象となってきました。短期賃貸の定義を30日間から90日間に変更して規制の対象範囲を広げようという動きや、短期賃貸物件の登録制採用など、短期賃貸を取り巻く状況は日に日に厳しくなっています。

今回の新カテゴリー増設による実質的な短期賃貸物件の税率アップも、この流れの一部と言えます。これまで税率が低いクラスにカテゴライズされていた短期賃貸物件に高い税率を課すことで、税率の低い長期賃貸への転換を後押ししようという考えです。現在旅行者などに提供されている短期賃貸物件がハワイに住む人々のための長期賃貸物件に切り替われば、住宅不足は緩和し、旅行者によるホテル利用が増加して産業が潤うという期待があるようです。

新しいカテゴリー「Transient Vacation」の税率設定に関しても様々な議論がありました。ホノルルには旅行者だけでなく、医療従事者やビジネス関連の訪問も多いことから、高い税率を設定して短期賃貸物件を大幅に減らしてしまうことは良くないという意見もありました。また、あまりに高い税率は所有者が短期賃貸物件の登録を避ける要因になるとの懸念もありました。

結果として2024年度の「Transient Vacation」の税率は「Bed & Breakfast」と「Hotel & Resort」の間となっています。ただ、固定資産税はホノルル州の収入の約半分を占めており、貴重な税収源ですので、今後少しずつ上がっていくことも大いに考えられます。