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成約価格中央値:戸建・コンドともに昨年同月より5%上昇
戸建 | コンドミニアム | |
9月の成約価格中央値 | $1,100,000 | $502,500 |
前月比 | $1,125,500(2.3%減) | $498,500(0.8%増) |
前年比 | $1,050,000(4.8%増) | $478,000(5.1%増) |
2022年9月の成約価格中央値は、戸建・コンドミニアムともに前年同月と比較して約5%上昇しました。前月比は戸建が2.3%下降、コンドミニアムが0.8%上昇となり、比較的小さな変動となりました。ハワイ不動産市場に変化の兆しが見え始めた時期に多くの関係者が予想したように、大幅な価格下落は起きておらず、価格に関してはしばらく小刻みな変動が続きそうです。
取引件数:戸建・コンドミニアムともに減少の一途
戸建 | コンドミニアム | |
9月の取引件数 | 278件 | 496件 |
前月比 | 314件(11.5%減) | 508件(2.4%減) |
前年比 | 424件(34.4%減) | 615件(19.3%減) |
今年の初夏以降、取引件数は継続的に減少しており、9月も引き続き前年比・前月比ともに減少となりました。要因は上がり続ける住宅ローン金利であることは明らかです。10月第3週目には、30年固定の住宅ローン金利が2002年以来の最高値となる6.92%まで上昇しました。今後の動向については予想が割れており、インフレが落ち着くまではこの上昇傾向が続くという意見と、2022年の第4四半期は5-6%台に落ち着くと見る声があります。
いずれにせよ、現在のレートの影響を受けて、下の図3の通り9月も取引中物件数は減少しており、この数字が取引件数として反映されるこの先1-2ヶ月は、確実に成約件数が減少すると言えます。
一方で、先月の市場動向まとめでもお伝えしたように、パンデミック以前と比較すると現在の取引件数は全く低い数字ではありません。下の図4は直近30年間の取引件数の推移ですが、現在の数字はリーマンショック以降パンデミック以前の期間(いわゆる「普通だった時期」)と照らし合わせると、戸建は同程度、コンドミニアムはむしろ多い方だとお分かりいただけるでしょう。
市場の物件数:戸建・コンドともに増加中
戸建 | コンドミニアム | |
9月末日の在庫物件数 | 629件 | 1,141件 |
前月比 | 596件(5.5%増) | 1,073件(6.3%増) |
前年比 | 437件(43.9%増) | 1,030件(10.8%増) |
戸建・コンドミニアムともに市場に出ている物件の数は順調に増加しています。まだまだパンデミック以前の数字には回復していませんが、少しずつバイヤーにも選択の余地が出てきており、需要と供給の観点では健康的な市場へと遷移していくと思われます。ただ、現在のペースで増加が続いた場合、パンデミック以前の水準まで供給量が回復するのは1-2年先となります。結果的に、しばらくは現在の売り手市場が続くと予想されます。
これも8月までの市場と同じ傾向ですが、市場の物件数が増えている一方で、新しく市場に出される物件数は減少しています。要するに、「新しく市場に出される物件数は減っているが、それよりも取引件数の減少の方が大きいため、結果として市場の物件数が少しずつ増加している」という状況です。
9月に新しく市場に出された物件数は、戸建が昨年比26.2%減少、コンドミニアムが18.6%減少となりました。これも住宅ローン金利の影響だと考えられます。アメリカでは住居購入者の9割がローンを利用しており、今住居を売却すると、新しい住居購入のために7%近い金利でローンを組むことになりますので、売却に及び腰になるのは当然と言えます。
買い手がつくまでの日数中央値:戸建・コンドともに延長
戸建 | コンドミニアム | |
9月の買い手がつくまで の日数中央値 |
18日間 | 14日間 |
前月比 | 13日間(38.5%増) | 13日間(7.7%増) |
前年比 | 9日間(100%増) | 11日間(27.3%増) |
物件を市場に出してから買い手がつくまでの日数中央値も、戸建・コンドミニアムともに前年同月・前月と比較して長くなりました。特に戸建は1年前は9日間だったところ2倍の18日間となり、大幅に日数が増加しています。一時期と比べてだいぶ余裕を持って取引に臨めるようになったようですが、コロナ以前の2019年9月は戸建が29日間、コンドミニアムが27日間だったことを考えると、まだまだ早いペースだと言えます。
また、中央値が伸びたとはいえ、人気の物件はやはりあっという間に買い手が決まります。Crossoverが売却をお手伝いしたコオラニのお部屋は、販売直後に複数の申し込みがあり、5日で買い手がつきました。クロージングは9月でしたが、中央値の14日間の約1/3の期間でのエスクロー入り(取引開始)となりました。
一言まとめ!
2022年9月のハワイ不動産マーケットは、全ての指標が分かりやすくスローダウンの方向へ向かいました。物価上昇と供給の不足により、価格が上昇。価格と住宅ローン金利の上昇により、バイヤー・セラー双方が慎重になり、取引に入るまでの日数が長くなり、成約件数も減少。新しく市場に出される物件が減少したにもかかわらず、成約件数がさらに少ないため、市場の物件数はわずかながら増加。という流れです。
発端となっているインフレの要因は世界規模の問題ですので、早晩に解決するというものではありません。アメリカのインフレ沈静化は23年の半ば頃とも予想されており、ハワイ不動産の状況はそれまで現在の傾向を深めていくと予想されます。
さて、ここまでは「ローカルの人々の居住用としてのハワイ不動産」の動きです。当然ではありますが、日本人バイヤー、日本人オーナーはハワイ不動産購入の目的、ローン金利の状況、為替の問題など全く違う状況にありますので、上記の分析とは動きも異なっています。日本人バイヤー/オーナーの現在の主な動きは物件の売却と新築の購入です。空前の円安と物件価格の上昇が重なった現在は確実に売り時ですので、売却に動くのオーナーさんが多いのは納得の流れです。
一方で、新築購入が多いと聞いて意外だと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。日本人バイヤーはこれまで、大きく分けて以下の3つの目的でハワイ不動産を購入してきたように思います。
(1)節税
(2)インカムゲイン・キャピタルゲイン
(3)自己利用
2020年度の税制改正により(1)のバイヤーの数は減少しました。(2)はよほどの理由が無いかぎりは、大幅な円安を押して今購入する必要がありません。結果として、現在の日本人バイヤーのほとんどが(3)となっています。自己利用目的で購入した不動産を使わない期間に貸し出すということはありますが、基本的にはハワイが好きでハワイ不動産が欲しい、ハワイ滞在時に使いたい、魅力的な新築が出たから購入したい、というのが主な動機です。さらに、現在の円安でドル資産の重要性を再認識したという面もあるかもしれません。
もともとハワイ不動産は他の海外不動産と比較して、「その土地と文化が好きだから不動産を買う」という金銭的なリターンを求めないバイヤーが多いという特徴があります。こういった熱烈な「ハワイファン」が多いからこそ、ハワイ不動産の価値は上がり続けているのでしょう。一見リゾート不動産業界には厳しいように思える現在のような状況で、図らずもハワイとハワイ不動産の魅力、底力を改めて感じることとなりました。
物件の売却・購入をお考えの方は、まずはお気軽にCrossoverまでご相談ください。個々のお客様のご事情に合わせて、丁寧にサポートさせていただきます。
売却をご検討中の方にお読みいただきたい「ハワイ不動産売却のススメ!」シリーズ
Vol.1 今は空前のハワイ不動産売却のチャンス!?
※図1〜7と表の数字はHonolulu Board of Realtors公表のデータを引用しています。