ホノルルのバケレンに大激震!Bill 41について概要解説!- 5月20日追記

昨年からホノルルの不動産・バケレン業界の大きな反発を受けながら審議が進められてきたBill41が、ハワイ時間4月26日、市長の署名によってついに条例(Ordinance 22-7)となりました。本条例は、ホノルルで不動産を貸し出す日本人オーナーにも大きな影響を与えるものですので、条例の概要と現在の状況をご紹介します。

5月20日:有効日・TVU登録・エリア別要点まとめ・訴訟内容を追記・更新しました。

基礎知識:オアフ島での不動産賃貸

Bill41/Ordinance 22-7はオアフ島の短期賃貸に関する条例ですので、まずは簡単にオアフ島の短期賃貸についてご説明します。

賃貸の種類

短期賃貸とは90日未満の不動産の賃貸を指します。短期賃貸にはホテル、バケーションレンタル、B&B(Bed & Breakfast)の3種類があります。ホテルは、ホテルコンドミニアムのユニットオーナーがホテルのレンタルプログラムを通して、1日単位でお部屋の貸し出しを行うものです。リッツ・ワイキキやトランプ・タワーなどがここに該当します。

バケーションレンタルをする物件は「Transient Vacation Unit(以降TVU)」と呼ばれ、家具付きのコンドミニアムや戸建て、タウンハウスなどをレンタル会社通したり、自身で集客して賃貸をします。貸し出し可能な最低日数については規制があり、エリアや物件によって30日が最低日数である場合と、30日未満の貸し出しが可能な場合があります。

B&B(Bed & Breakfast)は日本在住のオーナー様にはほとんど関係のないものですが、戸建の所有者が30日以下の期間、その一部を賃貸することを指します。オーナーまたは貸し出す人が、同じ不動産内に居住している必要があります。

エリア毎の条件

オアフ島の全ての地域はエリア分けされており、それぞれのエリアに不動産賃貸に関する規則があります。例えば、1日単位のお部屋の貸し出しが認められているのは「RESORT MIXED USE PRECINCT(リゾートエリア)」と呼ばれるエリアのみです。これまでの条例でこのエリアに指定されていたのはワイキキの一部、コオリナ、クイリマ(タートルベイ・リゾート)、カハラ、マカハ、エワ、ライエです。ご参考までに、現在日本の方に人気のWard Villageも賃貸が可能ですが、短期賃貸は認められておらず、最低貸し出し日数は180日です。

特例:Non-Conforming Use Certificate

上記の通りエリアによって貸し出しの日数に規制がありますが、「Non-Conforming Use Certificate(NUC)」と呼ばれる証明書を持つユニットは、そのエリアの規制に縛られることなく、1日単位のレンタルが可能です。1990年まで申請によってこの証明書を取得することができましたが、1990年9月を最後に新しい証明書は発行されていません。

ホノルル・カウンティでは有効なNUCを所有するユニットの一覧を公表しています。一覧はこちらからご確認いただくことができます。現時点では約800のユニットに有効な証明書が出されているようです。

積年の課題

観光が主な産業であるハワイでは、観光客相手の短期賃貸が盛んです。賃貸を副業としたり、老後の収入源にする人も多数います。一方で違法なレンタルも多く、長年問題となっています。居住用エリアでの違法な短期賃貸について、観光客による騒音、ゴミ問題、路上駐車などに不満を抱く現地の人々は多く、取り締まりの強化を希望する声があります。また、都心部でも多くの物件が短期レンタルに出されることで、地元住民が賃貸できる物件が減り、住宅事情を悪化させているとの指摘もあります。

この状況を改善するため、違法な短期賃貸を取り締まるための条例Bill89/Ordinance19-18が制定されました。しかしながら、取り締まりを実施するための資金と人材が不足しており、条例が機能しているとは言い難く、現在も違法な短期賃貸は数多く運営され続けています。

Bill41/Ordinance22-7とは?

目的

前置きが長くなりましたが、上記を踏まえてBill41/Ordinance 22-7についてご説明します。Bill41/Ordinance 22-7はオアフ島での短期賃貸について新たな規制を課す条例です。法案の提出者は、条例の目的を以下のように説明しています。

(1)違法な短期賃貸を取り締まることで、ハワイの人々の生活を圧迫する不動産の高騰と供給不足を改善する。
(2)短期賃貸の利用者による騒音、路上駐車、ゴミ問題等を解決することで、地元住民の生活環境を守る。
(3)機能していないBill89/Ordinance19-18を補足する条例を制定する。

主な変更点

これらの目的を達成するために、Bill41では短期賃貸の内、TVUとB&Bについて厳しい規制が導入されました。
(1)リゾートエリア以外の地域では、原則として短期賃貸は不可(NUCを持つユニットのみ可能)
(2)リゾートエリア内で短期賃貸を行う全てのユニットは、ホノルル市への登録と毎年の更新が必要
(3)これまで賃貸の最低日数が30日間だったエリアでは最低日数を90日間に引き上げ

(1)と(2)は、ホテルのレンタルプログラムを通した賃貸には適用されません。上記の内容を簡単に表にまとめると以下の通りです。

変更前 変更後
リゾートエリア内の30日以下の賃貸 手続きの必要なし 登録と毎年の更新が必要
アパートメントエリアでの賃貸 最低30日 最低90日
ゴールドコーストでの賃貸 最低30日 最低90日

有効日

Bill41はハワイ時間4月26日にホノルル市長が署名し、条例となりました。施行日は署名の180日後ですので、2022年10月23日に有効となります。2022年10月23日以降、これまで最低日数30日で賃貸をしていたユニットは(1)賃貸を停止する、(2)90日以上の賃貸へ移行する、(3)リゾートエリア内であればTVU登録、のいずれかの対応が必要です。

TVUの登録

リゾートエリア内で短期賃貸を行うユニットは全て、ホノルル市が提示する条件を満たし、TVUとして申請、承認される必要があります。条件は一定額以上の保険加入、煙・ガス探知機の設置、各種書類の提出などで、準備にはまとまった時間が必要となりそうです。登録料は$1,000、毎年の更新料は$500です。施行日以降は、承認時に与えられる承認番号を掲載しないと集客を行うことができません。また、所有者が変更される度に新たに登録が必要です。

尚、ホテルのレンタルプログラムを通してレンタルをする場合、登録の必要はありません。イリカイ・ホテルやパシフィック・モナークなど、リゾートエリアにはホテルユニットとTVUが混在する物件がありますが、これらの物件ではTVUのみ登録が必要となります。

現時点のアナウンスでは、登録は施行日である2022年10月23日に開始するとされています。承認が下りるまでの期間、短期レンタルの継続が可能であるか、現在担当局(Department of Planning and Permitting:DPP)に確認中です。建築許可など、DPPは審査・承認プロセスの遅さに定評があり、また今回は一斉に多くの申請が出されることが確実ですので、TVU登録には非常に時間がかかるのではと懸念されています。もし承認が下りるまで短期賃貸ができないということであれば、大きな混乱を招くことは間違いありません。

影響を受けるエリア

リゾートエリア、アパートメントエリアと聞いてピンとこない方は、下の地図をご参照ください。ピンクがワイキキのリゾートエリア、薄い橙色がアパートメントエリアです。ピンクのエリア内であれば、市に登録をすることで短期賃貸を継続可能、薄い橙色のエリア内の場合、施行日以降は90日以上の賃貸のみとなります。

一点ご留意いただきたいのは、冒頭の基礎知識でご紹介した「Non-Conforming Use Certificate(NUC)」です。この承認はBill41施行後も有効です。NUCを持つ物件のほとんどはアパートメントエリアに存在しますが、NUCがあれば施行日以降も引き続き短期賃貸が可能です。


City and County of Honoluluウェブサイトより引用

ワイキキのリゾートエリア以外で、1日単位の短期賃貸が可能なエリアは以下の3つです。画像はクリックで拡大します。

エリア別要点まとめ

上でご説明したワイキキ・リゾートエリアとアパートメントエリアについて、要点をまとめます。

Waikiki Resort Zone

コンドミニアムの例 Ilikai Marina
Marine Surf
Waikiki Shore
90日未満の賃貸 可能
・TVUとして登録が必要(初回登録費用:$1000・年間費用:$500)
・TVUとして情報の提供が必要
・保険:$1,000,000以上の保険加入が必要
・固定資産税:Resrot Tax Class(Residentialより3-4倍高い)
・その他:煙探知機の設置・納税証明書の提出などが必要
90日以上の賃貸 可能
・90日を超えて賃貸契約を更新する場合、1月単位の更新
・90日以下の賃貸(TVU)へ切り替える場合、変更料が発生
・固定資産税:Residential tax class

Waikiki Apartment / Apartment Mixed-Use Zones

コンドミニアムの例 Fairway Villa
Waikiki Park Heights
Allure Waikiki
Island Colony
Monte Vista
Chateau Waikiki
Royal Kuhio
90日未満の賃貸 不可
※ただし、有効なNUCを持つユニットは可能
例外
以下の2物件はTVU登録をして短期賃貸が可能
Waikiki Banyan
Waikiki Sunset
90日以上の賃貸 可能
・90日を超えて賃貸を更新する場合、1月単位の更新
・固定資産税:Residential tax class

ワイキキのホテルコンドミニアム

ホテルコンドミニアムは、前述の通りホテルが提供するレンタルプログラム(賃貸契約)を通した賃貸に限り、現状のままTVU登録をせずに短期賃貸が可能です。ホテルの定義は、短期滞在者用の客室・ロビー・フロントデスクが同じ建物内にある、24時間スタッフが常駐している、宿泊者の記録を保存している、などが挙げられます。これ等を満たしていない場合はホテルに分類されず、今回の規制の対象となることがあります。

例えば、現在Waikiki Shoreにはホテル会社のOutriggerが管理するユニットと、その他のバケレン会社が管理するユニットがあります。Outriggerはホテル会社でもありますので、一見、Outriggerが管理するユニットはこのままホテル運営としてTVU登録が必要ないように思われますが、OutriggerはWaikiki Shore内にフロントデスクを持っていませんので、ホテルとは見なされないようです。Bill41の有効日以降にWaikiki Shoreのお部屋を短期賃貸する場合、TVUの登録が必要だと考えられています。

ホテルを通した賃貸のみ 現状のまま賃貸可能

Trump Tower Waikiki
Ritz-Carlton Waikiki
ホテル運営とバケレンが混在 ホテル運営のユニットは現状のまま賃貸可能
バケレンユニットはTVU登録が必要

Ilikai Hotel
Waikiki Beach Tower
Bamboo Waikiki

バケレン業界が訴訟を準備

本条例はホテル業界に大きく利する内容であり、法案が提出された当初からバケーションレンタル会社や、TVUのオーナーは激しく反発してきました。今回の条例成立を受け、ハワイのバケーションレンタル会社を中心に団体(Hawaii Legal Short Term Rental Alliance:HILSTRA)を結成し、訴訟の準備を進めています。本条例によって影響を受けるExpediaやAirB&Bもこれに賛同し、訴訟費用の支援が予定されています。

訴訟を起こすにあたって、4月末時点で検討されている争点は以下の2点でした。しかしながら、5月に入ってHILSTRAから発信された情報によると、「最低日数30日間から90日間への変更」に争点を絞る方針に変更されたようです。

・最低日数30日間から90日間への変更は違法
オアフ島のゾーニング(エリア分け)とゾーン毎の規制内容はハワイ州によって決められたものですので、ホノルル・カウンティがそれに反する条例を作っても無効であるという指摘です。

・180日の猶予期間は違法
仮に最低日数30日間から90日間への変更が合憲であると認められた場合、変更前の条件でローンを組んだり投資をした人を考慮し、少なくとも5年間は移行期間を設ける必要があります。今回の条例に関する猶予期間が180日しかないのは違法であるという指摘です。

訴訟団体はバケーションレンタル業界に明るく実績のあるGreg Kugle氏を弁護士として雇用しており、そのKugle氏によると勝算は高いとのことです。実際にメインランドで同様の条例が訴訟によって無効となっており、勝訴の見込みは十分ありそうです。HILSTRAでは現在、訴訟費用の寄付を募っています。以下より詳細の確認と寄付をすることができます。


Hawaii Legal Short Term Rental Alliance(HILSTRA):FACEBOOK
訴訟費用の寄付:お支払いページ


ハワイ不動産購入を検討中の方へ

ここまでお読みになった方は、投資物件としてのバケーションレンタルユニット購入はリスキーだと感じられたことでしょう。しかしながら、実は必ずしもそうとは言い切れません。

先述の通り、ハワイでは違法な短期賃貸ユニットが数多く運営されており、これまで大きな問題となっていました。今回の条例施行でこれらの違法な物件が市場を追放されれば、限られた数の短期賃貸ユニットに大きな需要が集中します。観光客はホテルとは違うバケーションレンタルユニットの良さを既に知っていますので、バケーションレンタルユニットの稼働率は非常に高くなることが予想されます。また、米国ではインフレが続いており、シーズン毎に5%ずつ宿泊料が上がっているような状況です。 ハワイの短期賃貸も今後順調に賃料が上がることは確実です。

Bill41の今後についてまだ不確定な要素がある現在、一番重要な点は物件選びです。上記でご紹介した通り、規制の例外となる物件や、同じ物件内でも適用される規制が異なる場合があります。折角ハワイ渡航も楽しめる状況となった今、ハワイ不動産購入を検討中の方はここで諦めず、是非私どもまでご相談ください。提携するレンタル会社から入る最新の情報を元に、それぞれの状況に最善な物件をご案内させていただきます。

現在バケーションレンタルユニットをご所有の方のためにも、Crossoverでは今後の状況を注視し、適宜情報をアップデートしていく予定です。本ウェブサイトやFacebookInstagramで情報を発信していきますので、是非ご確認ください。