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成約価格中央値:戸建は2ヶ月連続で下落
戸建 | コンドミニアム | |
10月の成約価格中央値 | $1,050,000 | $520,000 |
前月比 | $1,100,000(4.5%減) | $502,500(3.5%増) |
前年比 | $1,000,000(5.0%増) | $500,000(4.0%増) |
2022年10月も、成約価格中央値は戸建・コンドミニアムともに前年同月よりも上昇しました。コンドミニアムは前月と比較しても3.5%上昇しており、戸建の前月比のみがマイナスという結果です。9月も同様に戸建の前月比だけがマイナスでしたが、9月は8月と比較して2.3%の下落、10月は9月と比較して4.5%の下落ですので、下げ幅は大きくなっています。一方で、コンドミニアムは過去最高を記録した今年6月の$534,000に次ぐ、歴代2番目の高値となりました。
取引件数:戸建が1年前の約6割まで落ち込み
戸建 | コンドミニアム | |
10月の取引件数 | 222件 | 435件 |
前月比 | 278件(20.1%減) | 496件(12.3%減) |
前年比 | 381件(41.7%減) | 611件(28.8%減) |
今年の初夏以降、取引件数は戸建・コンドミニアムともに継続的に減少しており、10月も引き続き前年比・前月比ともに減少となりました。戸建もコンドミニアムも大きな減少ですが、特に戸建は昨年同月の6割まで減少しました。住宅ローン金利の上昇という明らかな要因に加え、ハワイ不動産は毎年年末年始は成約件数が減少するサイクルですので、年明けまでこのまま成約数が減少していく見込みです。
しかしながら、すべての物件の取引が等しく減少しているわけではありません。件数自体は少ないですが、2,000sqft.(約185㎡)以上の大きな物件の取引件数は増加しており、$90万以上の高価格帯もまだ増加傾向です。エリア別の比較ではノースショア、ハワイカイ、パールシティなどで件数が微増しており、メトロ(ワイキキを含む都心部)、セントラル、ダイヤモンドヘッドで大きく減少しています。
現地の不動産エージェントによると、現在動いているのは投資用物件よりも居住用の物件とのこと。ホテルコンドミニアムや都心のコンパクトな物件よりも、落ち着いたエリアの広めのお部屋に買い手がつきやすいようです。あまりにも高くなってしまった戸建を避け、居住用物件として広めのコンドミニアムを購入する人は依然として多いようです。
市場の物件数:戸建・コンドともに増加するも低水準
戸建 | コンドミニアム | |
10月末日の在庫物件数 | 656件 | 1,194件 |
前月比 | 629件(4.3%増) | 1,141件(4.6%増) |
前年比 | 401件(63.6%増) | 1,039件(14.9%増) |
今年の早い時期から、戸建・コンドミニアムともに少しずつ市場の物件数は増えています。既にほぼ1年間増加傾向が続いていますが、物件は未だに不足しています。10月末日に売りに出されていた戸建は656件、コンドミニアムは1,194件、2年前の10月はそれぞれ1,086件と1,874件でした。戸建もコンドミニアムも、パンデミック以前の約6割程度にとどまっていることが分かります。
10月は戸建が285件、コンドミニアムが532件、売り物件として新しく市場に出されました。新しく売りに出される物件の数は減少傾向にあり、どちらも前年比約25%の減少です。また、ホノルル不動産協会によると、昨年10月は新しく市場に出された戸建の56%、コンドミニアムの48%に月内に買い手がついたのに対し、今年10月は月内に買い手がついたのは戸建・コンドミニアムともに約30%に過ぎないとのことです。
買い手がつくまでの日数中央値:戸建・コンドともに大幅に延長
戸建 | コンドミニアム | |
10月の買い手が つくまでの日数中央値 |
19日間 | 19日間 |
前月比 | 18日間(5.6%増) | 14日間(35.7%増) |
前年比 | 10日間(90.0%増) | 11日間(72.7%増) |
物件を市場に出してから買い手がつくまでの日数中央値は、戸建・コンドミニアムともに19日間となりました。昨年と比較すると戸建が9日間(90%)の延長、コンドミニアムは8日間(約73%)の延長となり、大幅に日数が伸びたことが分かります。パンデミック以前の2022年10月は戸建が23日、コンドミニアムが26日でしたので、比較するとまだまだ早いですが、動きは確実に緩やかになっています。
一言まとめ!
現在はコンドミニアムの価格だけが上昇を続け、その他は全て停滞気味です。インフレと住宅ローン金利の上昇を受けて、売主も買主も様子見の姿勢に入ったようです。住宅ローン金利は7%を超えており、住み替え先を確保できるか懸念する売主が増え、売りに出される物件は減っています。買主側も、選択肢(供給)が少なく価格も金利も高い現在は慎重にならざるを得ません。
コンドミニアムの成約価格上昇の要因は、「取引件数」の項でご説明した通り、大きめ/高価格帯の物件の伸びの他、低価格帯の動きが鈍化したことも挙げられます。過去最高の成約価格中央値を記録した今年6月以降、低価格帯の成約件数が前年同月を下回るようになりました。6月といえば、今年初め3%台だったアメリカの住宅ローン30年固定金利が6%を超えたと話題になった時期です。ここから、ローンを利用してリーズナブルな物件を購入する層の動きが鈍化したようです。
対照的に、戸建は過去最高の成約価格中央値を記録した今年5月以降、高価格帯($150万〜)の成約件数が前年同月を下回るようになりました。セカンド、サードホームとしてのラグジュアリー物件の購入が減少し、実需メインのマーケットに転換したと考えられます。以下のグラフ6の通り、現在はまだリスティング価格(販売価格)が高い戸建ですが、今後はマーケットの状態に合わせて少しずつ価格が下がってくると思われます。
市場の変化が感じられる点を更に挙げますと、販売価格満額で申し込みが入る割合が減少傾向にあります。以下は成約物件の販売価格(売主が提示した希望販売価格)合計を成約価格(実際に合意にいたった価格)合計で割った数字をグラフにまとめたものです。2021年から2022年の夏までは戸建はゆうに100%を上回っており、コンドミニアムも長い期間100%を維持してきました。これは多くの物件が販売価格満額かそれ以上で成約していたことを意味します。しかしながら、2022年10月は約2年振りに戸建・コンドミニアムどちらも100%を下回る結果となりました。
ホノルル不動産協会によると、今年10月に提示価格以上で売れた戸建は全体の50%、コンドミニアムは全体の48%です。昨年10月は戸建の75%、コンドミニアムの59%が提示価格以上での売却成立とのことですので、販売価格以上での売却は難しくなりつつあるということです。
先週(11月第2週)は久しぶりに130円台まで円高へ振れましたが、本記事公開時点ではおおよそ140円/ドルとなっています。まだ円安と言える範囲であり、売却をお考えのオーナーさんは今早めに売りに出した方が良さそうです。一方で、購入を検討している方にもチャンスがあるマーケットになってきました。物件の動きは一時期ほどのスピード感ではなくなってきましたので、日本から購入申し込みを入れても十分検討してもらえそうです。価格交渉の余地も出てきました。「今すぐに購入」というわけではなくとも、少しずつ情報収集に動き始めても良さそうです。
物件の売却・購入をお考えの方は、まずはお気軽にCrossoverまでご相談ください。個々のお客様のご事情に合わせて、丁寧にサポートさせていただきます。
売却をご検討中の方にお読みいただきたい「ハワイ不動産売却のススメ!」シリーズ
Vol.1 今は空前のハワイ不動産売却のチャンス!?
※グラフ1〜7と表の数字はHonolulu Board of Realtors公表のデータを引用しています。