投資用物件として日本人オーナーに人気のイリカイ・ホテル。知名度も高く、ホノルルでコンドミニアムホテルの購入を検討する際は必ず候補に上がる物件の1つです。その際に一番重要視されるのはやはり、賃貸の収支でしょう。本記事ではイリカイ・ホテルのレンタルプログラム収支について、実際の明細を元にご説明します。
Contents
イリカイ・ホテルとは?
1964年、ホノルル初の高層ラグジュアリーホテルとしてオープン。当初は約1050室のコンドミニアムとして計画されたプロジェクトですが、建設中にコンドミニアムとホテルの混合施設に変更されました。元々居住用として設計されていたため、キッチンがあり、ユニットは通常のホテルよりも広めです。
これまで建物の所有者やホテルマネージメント会社が幾度か変わり、ウェスティン・イリカイ、イリカイホテル・ニッコーワイキキ、ルネッサンス・ワイキキなど、その名も変えてきました。2003年にアクアアストン・ホスピタリティに現在のホテルマネージメント会社となり、現在にいたるまでイリカイ・ホテルとして営業しています。
建物の中には居住や別荘用の貸し出しをしていないお部屋、外部のレンタル会社を通してバケレンとして貸し出されているお部屋、イリカイ・ホテルとして貸し出されているお部屋があります。今回ご紹介するのは、イリカイ・ホテルとして貸し出されているお部屋の収支です。
2021年3月以前のプログラム – 固定 or 50/50
イリカイ・ホテルの1室としてお部屋を貸し出すためには、アクアアストン・ホスピタリティが提供するホテルレンタルプログラムに参加する必要があります。レンタルプログラムは 2021年3月に収益分配の方法が変更され、新しいプログラムになりました。2021年3月までは「分配金固定」と「売り上げの50%を分配金とする」2種類のレンタルプログラムがあり、ユニットオーナーはいずれかを選んでプログラムに参加することができました。シーズンを問わず安定した分配金を受け取ることができるため、分配金固定プログラムの加入者が多かったようです。
2021年3月以降のレンタルプログラム – 1年ごとに分配割合2.5%UP!
2021年3月、コロナによる利用者数減少を受け、それまでの2つのプログラムは廃止され、新たなプログラムがスタートしました。新しいホテルレンタルプログラムは収益を規定の割合でオーナーに分配します。このプログラムは2021年3月17日から2026年3月31日までの期間限定プログラムであり、オーナーへの分配金の割合は以下の表の通り、1年ごとに2.5%ずつ上がり、最終的には60%となる予定です。
予定期間 | オーナーへの分配金割合 |
プログラム開始〜2022年3月31日 | 50% |
2022年4月1日〜2023年3月31日 | 52.5% |
2023年4月1日〜2024年3月31日 | 55.0% |
2024年4月1日〜2025年3月31日 | 57.5% |
2025年4月1日〜2026年3月31日 | 60.0% |
NEWS!!
2022年2月、イリカイ・ホテルより2022年4月1日から予定通り分配金の割合を52.5%に上げる旨の通知がありました。コロナ以前の50%を受領するプログラムより良い条件となり、イリカイ・ホテルの順調な復活が感じられます。
実際の明細で収支を確認!
実際のレンタルステートメント(賃貸明細書)を元に、イリカイ・ホテルのレンタルプログラムの仕組みと収支を見てみましょう。以下の明細は、25階スタジオユニットの2022年1月分です。
1. UNIT STATISTICS
お部屋の利用状況です。「利用可能な日数」は通常その月の全日数となります。お部屋の修繕等で予約を取ることができない日があった場合は、その日数を差し引いた日数が記載されます。こちらのステートメントでは、1月は31日間予約を受け付けて、オーナーによる利用はなし、宿泊客による稼働が26日と分かります。
2. ACCOUNT DETAILS
レンタルプログラムでは個々のお部屋がそれぞれアカウントを持っており、各部屋の会計はそのアカウント内で行われます。よくいただくご質問の一つに、「各ユニットの売り上げを全体でまとめて、オーナーにはそれを平等に分配するのか」というものがありますが、そうではありません。売り上げも費用もそれぞれのユニット単体で計算され、分配金も当然お部屋ごとに異なります。ですので、同じフロアで同じユニットタイプでもビューが良い方が分配金が大きかったり、お部屋が修繕で貸し出せない場合はそのユニットだけ一定期間分配金がなかったりという事もあります。
「Account Details」では、該当月の収支を加算する前のアカウント(お部屋の収支)の状態を確認することができます。「前月のオーナー分配金」と「オーナーへの支払い」はそのままの意味です。大きな修繕があった場合など、オーナーが費用を別途支払った場合は「オーナーからの支払い」に記載されます。このお部屋では2021年12月は$2,514.13のオーナー収益があり、オーナーによる別途支払いはなく、分配金$2,514.13がオーナーに支払われたことが分かります。
大きな修繕があったり、全く稼働せず費用だけが発生したり、前月の収支がマイナスとなった場合は「Balance」がマイナスとなります。このマイナスは翌月(ステートメント発行月)へ持ち越され、翌月の収支から差し引かれます。
3. TAX INFORMATION
ハワイ州で1回あたりの宿泊日数が180日以下の短期レンタルを行う場合、売上税(4.712%)と宿泊税(10.25%)が発生します。また、2021年12月14日以降に受け付けた予約に関して、オアフ島ではオアフ島宿泊税(3%)が課税されるようになりました。この3つの税金は部屋の所有者または賃貸をする業者に納税義務がありますが、宿泊者に転嫁することもできる税金です。イリカイ・ホテルでは宿泊者から宿泊料と合わせて徴収していますので、オーナーの金銭的負担はありません。ただ、申告・納税手続きの義務はありますので、ここに税金の詳細が記載されています。
4. OWNER DEDUCTION – CURRENT MONTH DETAILS
該当月に発生した、オーナーが負担する費用です。管理修繕費は通常範囲の家具・カーテン・カーペットのメンテナンス、食器・リネンなど小物の交換に使われる積立金です。お部屋のタイプによって額が決まっており、毎月定額が徴収されます。現在は以下の通りで、ステートメントのお部屋はスタジオタイプですので、$104.24となっています。
スタジオ:$104.24
1ベッド:$120.72
2ベッド:$137.17
「Tax Information」でご説明した通り、ホテルレンタルでは3種類の税金が発生します。宿泊客から徴収したこの税金をオーナー自身が申告・納税手続きをする場合、オーナー分配金と合わせてオーナーに支払われ、受領した税金をオーナーが自分で納税します。一方で、手数料を支払ってホテルに申告・納税を依頼することも可能です。こちらのお部屋はイリカイ・ホテルに手続きを依頼しており、毎月$60.74の手数料を支払っています。実際に3種類の税金を負担しているのはオーナーではありませんが、分配金の計算上税額もここに記載されています。
※分配金の計算方法については「分配金の計算方法をおさらい!」でご説明します。
5. OWNER DEDUCTION SUMMARY
上の「Owner Deduction – Current Month Details」の概要です。同じ内容が簡潔に記載されます。
6. ACCOUNT REVENUE
お部屋の分配金はここで計算されます。
「売り上げ」は該当月のそのユニットの売り上げです。基本的には180日以下の全ての宿泊が宿泊税の対象となりますが、一部の例外がありますので、そのような場合は「宿泊税控除」として記載されます。売り上げに関する「調整額」は、諸般の調整があった場合に記載されます。「宿泊税控除」と「調整額」は通常$0です。
宿泊客が料金をクレジットカードで支払った場合は「カード手数料」が発生し、旅行業者や旅行サイトを通して予約した場合は「旅行業者手数料」が発生します。宿泊客が支払うべき料金のうち、回収できなかった金額が「回収困難な費用」として記載されます。これは会計システム上ここに記載されますが、「実質分配額」に再度加算されますので、実際のところオーナーの負担ではありません。
「売り上げ」から上記6つの費用が差し引かれたものが「売り上げ合計」です。この50%が「運営費用」として支払われます。こちらのステートメント(2022年1月分)では50%がホテルに支払われますが、プログラムの概要でご説明した通りオーナーへの分配割合は1年ごとに2.5%ずつ増えていきますので、2022年3月以降は「運営費用」は47.5%、45%、42.5%…と減っていきます。
「売り上げ合計」から「運営費用」を差し引き、「回収困難な費用」を加算した額が「実質分配額」となります。ここに宿泊客から徴収した税金3種類(売上税・ハワイ州宿泊税・オアフ島宿泊税)を加算し、5で計算した「オーナー費用合計」を引いたものが最終的な分配金額「オーナー分配額」となります。こちらのお部屋では$2,240.62が最終的なオーナー分配金だったことが分かります。
分配金の計算方法をおさらい!
各項目のご説明で大体お分かりいただけたと思いますが、レンタルプログラムの分配金計算方法をまとめると下のようになります。
(「売り上げ」ー「諸手数料」)× 1/2 +「回収困難な費用」=「実質分配額」
「実質分配額」+「税3種類」ー「オーナー費用合計(税3種類含む)」=「オーナー分配額」
同じコンドミニアムホテルでも、リッツカールトン・ワイキキやトランプタワー・ワイキキはレンタルプログラムの費用構成が異なります。イリカイ・ホテルのような手数料の他に、月額の固定費用があり、お部屋の売り上げに占めるオーナー分配金は低くなる傾向にあります。そのような固定費用がなく、様々な手数料が引かれても、結果的に売り上げの約半額がオーナー分配金となるイリカイ・ホテルは、レンタル収入を目的とした投資であれば魅力的な物件と言えるでしょう。
また、今回ご紹介したステートメントは山側のシティビューのお部屋ですので、イリカイ・ホテルの中では単価が低めのお部屋です。マリーナや海に面したお部屋は少し単価が高くなりますので、より良い売り上げと分配金を望むことができます。
Crossoverからイリカイ・ホテル2212号室をリスティング中です!
現在ホテルのレンタルプログラムに入っており、ご購入後すぐに貸し出し可能です。
レンタルの明細もありますので、ご興味のある方は是非お問合せください。