ハワイ移住がリモートワーカーに人気のワケ

コロナ禍以降、リモートワークという働き方が当たり前になり、「働く場所」の選択肢は大きく広がりました。そんな中、国内外からリモートワークを活用してハワイに拠点を移す人たちが増えています。

これまでバケーション先というイメージが強かったハワイですが、今では“働く場所”として選ばれるケースも少なくありません。その背景には、他にはない仕事とプライベートの理想的なバランスを実現できる「ライフスタイルの魅力」があります。

一方で、全米でもトップクラスの物価の高さ、日本との時差や生活環境など、不安要素がゼロというわけではありません。それでもなお、多くの人にとって「憧れの移住先」としての人気は根強く、実際に短期移住という形でリモートワークを利用しながらその夢を叶える人も少なくないのが現状です。

本記事では、なぜリモートワーカーがハワイに移住するのか、また移住する際の注意点についても解説していきます。「いつかはハワイで暮らしてみたい」「短期移住してリモートワークしてみたい」そんな思いを持っている方のヒントや参考になれば幸いです!

リモートワークにハワイが選ばれる理由

ハワイに移住したくなる理由は、ある程度想像がつくかもしれません。大自然に囲まれ、ゆったりとした時間の流れと人々の穏やかさに毎日触れながら暮らせる常夏の島。ビーチや山に囲まれた環境での生活は、心と体をリフレッシュさせてくれ、仕事のパフォーマンス向上にもつながりそうですね。ここではリモートワークにハワイが選ばれる3つの理由をご紹介します。

1. 大自然と都市機能が共存する希少なエリア

ハワイの中でも特にホノルルは、大自然と都市機能が共存する、世界でも稀有な環境を提供してくれる場所です。

自然に囲まれている地域ではインフラやネット環境が不安定になりがちですが、ホノルルではその心配は無用です。反対に、都市部では自然が乏しかったり空気が悪かったりすることもありますが、ここではその両方を高いレベルで兼ね備えています。

また、ハワイに暮らす人々には、自然のリズムに沿った早寝早起きの習慣が根づいており、島全体に健康的で生産的なライフスタイルが広がっています。
さらに、南国ならではのリラックスした雰囲気が一年中漂っており、ワークライフバランスを大切にする価値観も広く共有されています。

短期でも長期でも、ハワイという環境でリモートワークを体験することで、新しい人生観や価値観に気づくきっかけとなるかもしれません。

2. リゾート地ならではの充実した滞在環境

ご存知の通り、世界有数のリゾート地であるハワイには、ホテルからAirbnbのような民泊、バケーションレンタルまで、キッチンや洗濯機が完備された、数週間〜数ヶ月単位で利用できる滞在施設が豊富に揃っています。以下のようなフルキッチンや電化製品が完備されたお部屋にもバケーションレンタルを利用すれば宿泊できる可能性があります!

実際、国内外からハワイを訪れるリモートワーカーの中には、「最初は数週間のつもりだったのに、気づけば1年以上住んでいる」という声も多く聞かれます。

通常、完全なホテルとは異なる“ちょうどいい”一時滞在先を探すのは難しいものですが、ハワイではそのような心配は不要です。

3. コワーキングスペースも充実!

近年では、アメリカ本土から移住してきたリモートワーカーの増加により、仕事ができる環境が整ったカフェやコワーキングスペースが充実してきました。

その結果、リモートワークに最適な設備や空間がハワイでも当たり前になりつつあります。こちらは、今ハワイで話題のコワーキングスペースの一例です。

Hub Coworking Hawaii: 1050 Queen St Suite 100, Honolulu, HI 96814, United States

ワイキキとカカアコの2拠点に展開するこちらのHub Coworking Hawaiiでは、$75の2デイパスから利用可能。旅行中に少しだけ仕事をしたい時にも、気軽に立ち寄れるのが魅力です。ハワイ産の自家製コーヒーや、全米で人気のコンブチャなどの無料ドリンクに加え、プリンターやシャワーまで完備。1日ゆったりと快適に仕事に集中できる環境が整っています。

2 Day Pass $75.00
Starter Plan (月2回利用) $50.00 (最低契約期間2ヶ月)
Part Time (月10回利用) $195.00
Unlimited (無制限利用) $375.00

Hawaii Coworking: 438 Hobron Ln PH1, Honolulu, HI 96815, United States

こちらは、現在ワイキキで最も注目を集めているシェアスペース Hawaii Coworkingです。
イリカイホテル沿いのAla Moana Blvdから1本内陸に入ったHobron Lnに位置し、ワイキキはもちろん、アラモアナやカカアコからのアクセスも抜群の立地です。

こちらの施設はマンスリーメンバーシップ制のため、旅行中に少しだけ利用する…という使い方は難しいですが、ポッドキャストルームなどの最新設備が整っており、本格的に仕事をしたい方には理想的な環境です。さらに、メンバー同士のネットワーキングイベントも定期的に開催されているため、ハワイに引っ越してきたばかりの方でも、自然と人とのつながりを作ることができそうです。

Unlimited (無制限利用)$250.00

このように、旅行中にローカル気分で作業ができるシェアスペースから、実際に移住して毎日利用できる本格的な作業環境まで、ハワイにはリモートワーカーにとって理想的な環境が整っています。

生産性が向上するだけでなく、日本ではなかなか得られない、アメリカ本土のカルチャーに触れながら、現地の人たちと仕事をしたり、交流を深めたりする貴重な経験にもなるでしょう。
もしかしたら、次のビジネスアイデアや思わぬチャンスが生まれることもあるかもしれません。

リモートワーカーに人気の滞在エリアは?

ワイキキ以外にも、オアフ島にはリモートワーカーや中長期滞在をする人達に人気のエリアが複数存在します。中でも特に人気の高い滞在エリアをいくつかご紹介します。

急成長を遂げている注目のエリア「カカアコ」

複合施設「SALT」で知られるカカアコは、アメリカ本土から移住してくるリモートワーカーの間でも特に注目されている人気のエリアです。おしゃれなカフェやローカルレストランが立ち並び、Wi-Fi完備のスポットも豊富。カカアコにある最新のコンドミニアムに長期滞在するリモートワーカーも年々増えています。

ハワイで最新のローカル文化やトレンドに触れながら、ローカル気分でおしゃれにリモートワークを楽しみたいという方には、まさにぴったりの場所です!

オアフ島東部のビーチタウン「カイルア」

ローカル感あふれる町で、美しいビーチや自然に囲まれながら仕事をしてみたい!という方におすすめなのが「カイルア」です。都市部ほどの利便性はありませんが、その分スローライフを満喫でき、集中して仕事ができる環境が整っています。

Airbnbなどで見つかる短期レンタルのアパートメントも豊富にあり、周辺にはターゲットやホールフーズといった日常生活に必要な店舗が揃っているため、ホノルルまで出る必要もほとんどありません。ただし、ワイキキやカカアコのようなエリアと比べると交通の便があまり良くないため、レンタカー、もしくは自転車やバイクのレンタルが必須となります。

コスパと利便性重視ならワイマル

最後にご紹介するエリアは、オアフ島の南側、パールシティとアイエアの間に位置する「ワイマル」です。ホノルル中心部からは車で約20〜30分の距離にあり、観光地ではなく、ローカルの人々が多く暮らす住宅街として知られています。

Waimalu Shopping Mall 公式サイトより

大型ショッピングモールや日用品店が点在し、コストを抑えながら“アメリカらしい”生活を体験してみたい方にはぴったりのエリアです。コストパフォーマンスの良さから、ハワイに移住してきた学生や働く人々の滞在先としても人気があります。

日本人にはまだあまり知られていないエリアですが、Airbnbなどで借りられるアパートメントも充実しており、リモートワーク滞在にも十分対応可能です。カイルア同様、交通網は発達していないためレンタカーの利用は必須ですが、特に長期滞在を検討されている方には、現実的かつおすすめできる地域といえるでしょう。

楽園ハワイで気をつけたいリモートワークの側面

とはいえ、ハワイといえどリモートワークや移住には注意すべきポイントもあります。代表的なものをいくつかご紹介します。

1. 全米でもトップの物価の高さ

こちらはハワイで最も深刻な問題の一つでもあり、ご存知の方も多いかもしれませんが、住宅費から日用品に至るまで、ハワイの物価は全米でもトップクラスの高さを誇ります。

以前ご紹介した2025年版「ハワイ長期賃貸マーケット」でもお伝えした通り、ハワイ州は2024年、全米で最も平均賃料が高かった州となりました。さらに、インフレの影響に加え、島という地理的条件から、食品や日用品などの価格も割高になる傾向があります。

この状況下で、地元の住民たちが島を離れざるを得ない状況が増えており、その代わりに、リモートで働ける本土や国外の裕福な人々が移住してくるケースが増えています。こうした新しい移住者たちは、ハワイの住宅価格や物価の高さに違和感を抱きにくいため、結果的に価格の上昇に拍車をかけてしまうという悪循環が起きているのです。

余談ですが、先日、世界中で話題になっているハワイが舞台の最新ディズニー映画『リロ&スティッチ実写版』でボーカルを務める、ハワイ出身のIam Tongiさんに関するエピソードが注目を集めました。

彼は2019年、物価高の影響で家族全員でハワイを離れることになり、その後、お父様が他界されました。今回ハワイをテーマにした歌を歌うことが、亡き父と故郷であるハワイへの恩返しになるという彼の想いに、多くの人が心を打たれています。筆者自身も外部者でありながら、この話には胸が締めつけられる思いでした。このエピソードを通して、改めてハワイの物価高の問題が特にローカルの人達にとってどれほど深刻であるかを痛感させられました。

2. 気になる時差問題

日本とハワイの時差は19時間で、日本の方が19時間進んでいます。一見すると「そんなに時差があるなんて、ハワイから日本と仕事するのは無理なのでは?」と思われがちですが、実際に生活してみると、感覚的には「ハワイが5時間進んでいる」というような捉え方もできるため(※日付は1日遅れになります)、意外と不便さを感じないという声も多く聞かれます。

とはいえ、日本の業務開始時間はハワイではお昼過ぎにあたるため、仕事内容によってはハワイの夜遅くまで働かなければならないケースもあるでしょう。そのため、ハワイでのリモートワークが適しているかどうかは、職種や業務時間の柔軟性によって大きく左右されると言えます。

3. 高額な医療費

ハワイに限らずアメリカ全土に言えることですが、アメリカの医療制度の脆弱さと医療費の高さは、世界的にもよく知られています。

また、アメリカでは「プライマリケア医」(日本でいうかかりつけ医のような存在) という考え方が一般的です。多くの人が自分専用の主治医に登録しており、診察や薬の処方が必要なときは、まずこのプライマリケア医に相談するのが基本的な流れです。そのうえで、必要に応じて専門医や大きな病院に紹介される仕組みになっています。

そのため、外国人がアメリカで軽い症状でも診察や薬の処方を受けたい場合、プライマリケア医がいないことからUrgent CareやEmergency Careなどの特別な医療機関を利用することになりがちです。結果的に、ただでさえ高額な医療費がさらに上乗せされることも珍しくありません。

さらに、たとえアメリカの医療保険に加入していたとしても、1回の診察で数万円を請求されることも十分あり得ます。そのため、ハワイに数週間以上滞在してリモートワークを行う予定がある方は、海外旅行保険への加入が必須です。特に、日本語サポートがあり、補償範囲が広いプランを選ぶことをおすすめします。

まとめ

このように、リモートワーク移住者にとって注意すべき点はいくつかありますが、常夏のハワイで現地の文化や人々に触れながら仕事ができるというのは、非常に魅力的で、かつ実現可能なライフスタイルであることがご理解いただけたのではないでしょうか。

アメリカ本土からのリモートワーカーは、コロナ以降も増加傾向にありますが、日本からとなると、中期・長期での滞在は現実的に難しい側面もあるかもしれません。

それでも、リモートワークという働き方を活用することで、数週間から数ヶ月単位での滞在を実現し、バケーションとあわせて、これまで見つけられなかった“ディープなハワイ”に触れる機会が生まれるかもしれません。本記事が、何かのきっかけやご参考になれば幸いです。

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*表紙写真: https://www.ilove2travel.nl/