ホノルルの固定資産税率 2019年度改定版

ホノルルの固定資産税率の支払い時期

ハワイ不動産を所有して発生する維持コストには大きく分けると、①管理費、②光熱費、③会計コスト、そして④固定資産税があります。今回は、ハワイの「固定資産税」に関する仕組みについて調べてみました。

ハワイでは税金の会計年度は、7月1日から始まります。なので、「2019年度固定資産税」というのは、2019年7月1日から2020年6月30日までの税金ということになるのです。実際の日付が2020年でも、税金ではまだ2019年度ということもあるので、ゴチャゴチャしないように覚えておきましょう。

固定資産税の支払いは、1年分を一度に支払うか、上期と下期の2回に分けて支払うか選ぶことができます。それぞれの期間と支払い期日は以下のように決まっています。

上期 7月1日〜12月31日 支払い期日=2月20日
下期 1月1日〜6月30日 支払い期日=8月20日

固定資産税は国税ではなく、いわゆる地方税ですが、アメリカに50ある州の下位行政区分であるCountyという地方行政組織単位で管轄されているため、一言でハワイ州と言っても、オアフ島とハワイ島、マウイ島、カウアイ島では税率も資産区分も様々です。

下記はHonolulu Countyに属したオアフ島のホノルル市の固定資産税率です。ワイキキやアラモアナ、カカアコなどはすべてこのレートが適応されます。ハワイの不動産を所有する、というと基本的にはコンドミニアムや戸建てなどの住居になるかと思いますが、そちらは「Residential」というカテゴリーになります。

ホノルル市の固定資産税率 2019年度

Residential $3.50
Hotel and Resort $13.90
Commercial $12.40
Industrial $12.40
Agricultural $5.70
Preservation $5.70
Public Service $0.00
Residential A – Tier 1
(Applied to the net taxable value of the property up to $1,000,000)
$4.50
Residential A – Tier 2
(Applied to the net taxable value of the property in excess of $1,000,000)
$10.50
Vacant Agricultural $8.50

※2022年1月現在、上記の他「Bed and Breakfast Home」という区分が追加されており、$1,000あたり$6.5です。

ただし、日本人投資家目線では一点注意事項があり、所有物件が「主たる住居」では無い場合、かつ、当該物件の固定資産税評価額が1,000,000ドル以上の場合には、通常のResidential Classではなく、「Residential A」というClassに分類されることとなります。「Residential A」とは、2014年度から新たに創設されたClassになります。

適用要件の概要としては、
①固定資産税評価額が100万ドルもしくはそれ以上の物件であること
②Homeowners Exemption(居住用不動産免除書類)を提出していないこと
があげられます。

日本人オーナーにとっては、VISAもしくは永住権を取得してハワイに移住しない限り、Homeowners Exemptionを提出することは不可能ですので、基本的には①の物件の評価額が適用要件になると考えて良いかと思います。

「Residential A」とは

物件評価額が100万ドルを超える不動産を、セカンドハウスとして所有、もしくは長期賃貸で貸し出しているオーナーは、必然的に「Residential A」に該当することになります。

2016年から2017年度までの「Residential A」の税率は、0.6%の1本だったのですが、2017年の税制改正により「Tier 1」と「Tier 2」という二層式の税率が設定されました。二層式とは、物件の固定資産税評価額が「100万ドルまでは0.45%」(Tier 1)、「それ以上は0.9%」(Tier 2)として課税をする、ということになります。

そしてさらに2019年度からは、Tier 2が0.9%から1.05%と上昇しました。

2019年度のレジデンシャルAの変更

評価額100万ドル以下(Tier 1) 0.45%  変更なし
評価額100万ドル超(Tier 2)0.9% → 1.05%

では、具体的にどのように計算すれば良いのか見てみましょう。

Case1. 固定資産税評価額が130万ドルのセカンドハウスもしくは長期賃貸物件を所有している場合

2016年度まで)130万ドル×0.6%(Residential A)=7,800ドル

2017年度変更)100万ドル×0.45%(Residential A/Tier 1)+30万ドル×0.9%(Residential A/Tier 2)=7,200ドル

2019年度変更)100万ドル×0.45%(Residential A/Tier 1)+30万ドル×1.05%(Residential A/Tier 2)=7,650ドル

Case2. 固定資産税評価額が200万ドルのセカンドハウスもしくは長期賃貸物件を所有している場合

2016年度まで)200万ドル×0.6%(Residential A)=1万2,000ドル

2017年度変更)100万ドル×0.45%(Residential A/Tier 1)+100万ドル×0.9%(Residential A/Tier 2)=1万3,500ドル

2019年度変更)100万ドル×0.45%(Residential A/Tier 1)+100万ドル×1.05%(Residential A/Tier 2)=1万5000ドル

2019年の変更により、100万ドルを超える部分に係る税率(Tier 2)が上昇したわけです。その結果、これまでよりもより高額物件への課税が重くなるということとなりました。物件評価額が100万ドルを超えるような高額な不動産を別荘として所有できるような富裕層に対しては税負担を重くしますよ、ということでしょう。

ホテルコンドはどうなのか?

ホテルレジデンスはどうなるのでしょうか。ホテルレジデンスは、純粋なResidentialとは違い、ホテルとしての商業利用される不動産になります。そのため、ResidentialでもResidential Aでもなく、「ホテル&リゾート(Hotel&Resort)」という商業用のカテゴリーへ分類されます。

このカテゴリーも2019年度からは、1.29%→1.39%と増税となりました。

なお、Trump Hotel WaikikiやThe Ritz-Carlton Residences Waikiki Beachなどの不動産を購入し、ホテルとして稼働させず純粋に別荘利用をすることも可能ですが、その際にはProperty Class Change(用途変更)手続を行うことで、Hotel&ResortからResidentialもしくはResidential Aへの変更が可能になります。

バケーションレンタルをしている場合は?

ワイキキのリゾートエリアなどでバケーションレンタル運営をしている物件も、「ホテル&リゾート」カテゴリーの税率が適応されます。そのため、税率は1.39%となりました。

6カ月未満の短期賃貸は、すべてこの税率となります。今でも、バケーションレンタル運営をしていながら、Residentialの税率となっている方は要注意です。


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毎年10月1日に固定資産税評価が行われる

日本の固定資産税は3年に一度評価替えを行いますが、ハワイでは毎年10月1日に行われます。ハワイには日本のような公示地価や路線価のような指標は存在していないため、固定資産税評価額は基本的には実勢価格に近いところになるケースが多いようです。

ハワイの生活費は高いというイメージですが、こと固定資産税に関しては、なんと全米一安い州となっています。最も固定資産税が高いニュージャージー州、次いで、シカゴを擁するイリノイ州では、ハワイに比べると実に7~8倍程度の固定資産税が課されます。実はハワイの固定資産税は全米で比べると相当安いのです。確かにハワイは不動産価格をはじめ、生活費・光熱費はかなり高いほうになりますが、所有後の固定資産税の割安感は際立つものになっており、上手くバランスをとっています。

しかしそれはResidentialカテゴリーの話し。非居住者で、高額の不動産を所有しているオーナーからは多く税金を取るという変更になっています。