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成約価格中央値:戸建は上昇、コンドミニアムは下落
戸建 | コンドミニアム | |
8月の成約価格中央値 | $1,125,500 | $498,500 |
前月比 | $1,107,944(1.6%増) | $500,000(0.3%減) |
前年比 | $1,050,000(7.2%増) | $500,000(0.3%減) |
2022年8月の成約価格中央値は、戸建とコンドミニアムでその動向がはっきりと分かれました。戸建は前月・前年をどちらも上回り$1,125,500、コンドミニアムは前月・前年どちらも下回り$498,500となりました。
上の図2と3は、今年8月の価格別取引件数を昨年同月と比較したものです。棒グラフの根本に書かれた数字が成約件数です。戸建では$600,000-$900,000の比較的低い価格帯にて、契約件数がそれぞれ-72.4%、-46.5%、-52.4%と、大きく減少しました。これが成約件数中央値を引き上げた要因のようです。
一方で、コンドミニアムはどの価格帯も押し並べて件数が減少していますが、割合として大きく減少したのは$900,000以上の3つの価格帯です。それぞれ36.1%、60.0%、72.2%の減少となりました。戸建とは対照的に、高価格帯の成約件数が減少したために、価格中央値が引き下げられたと考えられます。
取引件数:戸建・コンドミニアムともに前年の約3/4に
戸建 | コンドミニアム | |
8月の取引件数 | 314件 | 508件 |
前月比 | 312件(0.6%増) | 518件(1.9%減) |
前年比 | 425件(26.1%減) | 675件(24.7%減) |
7月に引き続き、取引件数は戸建・コンドミニアムともに、昨年と比較して大幅な減少となりました。どちらも昨年比約25%の減少であり、前年同月の3/4程度の成約件数です。
25%減少と聞くと大変なスローダウンのように感じられますが、それでも2022年8月の成約件数は戸建が300以上、コンドミニアムが500以上で、ホノルル不動産協会によると、これはパンデミック以前の月の平均的な成約件数とほぼ同等か少し多い程度だそうです。2021年が特別な年であったため、比較するとどうしても振るわない数字に見えてしまうのが難しいところです。
市場の物件数:7月に引き続き戸建・コンドともに増加
戸建 | コンドミニアム | |
8月末日の在庫物件数 | 596件 | 1,073件 |
前月比 | 576件(3.5%増) | 1050件(2.2%増) |
前年比 | 416件(43.3%増) | 950件(12.9%増) |
成約件数と同様に、市場在庫数も7月の流れをそのまま引き継ぐ形となりました。7月がそうであったように、戸建・コンドミニアムともに前月比、前年比増加です。特に戸建は昨年同月と比較して約1.5倍となっており、かなり市場の物件数が増えてきたことが分かります。少しずつバイヤーにもチャンスのある市場となってきたと言えるでしょう。
一方で、上の図6からもお分かりいただけるように、新しく市場に出された物件数は先月よりも少なくなりました。戸建が昨年比17.2%減、コンドミニアムが15.7%減、前月比は戸建・コンドミニアムともに1.3%の減少です。
通常は移動の季節である6月頃をピークに、年末に向けて新しく市場に出される物件数は減少していきますので、前月と比較して減少しているのは不自然ではありません。ただ、昨年と比較して大幅に減少しているのは、これまでの圧倒的な売手市場が落ち着いてきた事を感じた売主が、時期を逃したと考えて動きを控え始めた可能性もありそうです。
買い手がつくまでの日数中央値:戸建・コンドともに延長
戸建 | コンドミニアム | |
8月の買い手がつくまで の日数中央値 |
13日間 | 13日間 |
前月比 | 11日間(18.2%増) | 12日間(8.3%増) |
前年比 | 9日間(44.4%増) | 12日間(8.3%増) |
物件を市場に出してから買い手がつくまでの日数中央値は、戸建・コンドミニアムでそれぞれ先月から延長し、どちらも13日間となりました。買い手がつくまでの日数も、下の図8・9の価格別グラフをみると、成約価格中央値と同じような傾向を見てとることができます。
戸建は$3,000,000以上の価格帯以外、全ての価格帯で日数が増加しています。低価格帯の取引件数が減少している事と併せて、戸建は低価格帯の需要が低下し、高価格帯が市場を牽引していると言えます。逆に、コンドミニアムでは一番高い価格帯で最も日数が増加しています。取引件数の章で確認した通り、コンドミニアムは高価格帯の取引件数も減少しつつありますので、高価格帯の需要が低下してきているのかもしれません。
一言まとめ!
数ヶ月前から見え始めた市場沈静化の兆しが、8月はより顕著となり、このままマーケットがクールダウンしていくのはほぼ確実となりました。ただ、ハワイ不動産は毎年初夏をピークに年末年始に動きが減るというサイクルがありますので、ここから年末へ向かって数字が落ちていくのは自然な流れでもあります。現在の沈静化が大きな落ち込みになることはないでしょう。
沈静化の要因は金利の上昇、経済不安、リモートワーク見直しの動きなど複数挙げられますが、やはり大きな要因は住宅ローン金利の上昇だと考えられます。今週(9月第2週)はアメリカの30年固定金利が2008年以来の高値、5.89%となりました。歴史的にはさほど高いわけではないのですが、1年前は2.88%だった事を思えば、バイヤーの動きが慎重になることは致し方ありません。
市場の物件数の少なさから、マーケットはまだ売手市場ですが、この先はより慎重に販売価格を検討する必要ありそうです。ホノルル不動産協会のレポートによると、8月末日に市場に出ていた戸建物件の38%が、過去に1度は価格を下げています。コンドミニアムも8月末日の在庫物件のうち34%が値下げを経験しており、1年前の値下げ物件の割合は19%と21%だったことを考えると、状況がすこしずつ厳しくなってきていることが分かります。
元気がなくなるような話題が続きましたが、日本人オーナーの物件売却は状況が異なります。為替が1ドル=約144円を記録し、現在もまだまだ売り時と言えます。マーケットの状態に合わせて堅実な価格設定をしても、現在の記録的な円安が大きな味方となります。また、昨年と比較して価格の伸びが緩やかになったとは言え、ハワイ不動産は長い事右肩上がりですので、物件によりますが、多くのケースでキャピタルゲインが発生します。物件の売却をお考えの方は、まずはお気軽にCrossoverまでご相談ください。
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上記の内容を動画にしました。文字より音声派の方はこちらをどうぞ。
売却をご検討中の方にお読みいただきたい「ハワイ不動産売却のススメ!」シリーズ
Vol.1 今は空前のハワイ不動産売却のチャンス!?
※図1〜6と表の数字はHonolulu Board of Realtors公表のデータを引用しています。